【ヨセフ】②  夢を解くヨセフの物語/エジプトへの移住と「創世記」の終わり【研究者Uの聖書講座】

こんにちは、はてはてマンボウです。

研究者Uさんの聖書講座のシリーズです!

 


 

 

 


 

こんにちは。

ユダヤ教の聖書解釈を専門にしている「研究者U」です。

 

今回は、前回の記事の続きです。

 

 

ヘブライ語聖書(いわゆる「旧約聖書」)の「創世記」における、

 

「ヨセフ」

 

の物語の続きを見ていきましょう。

前回、兄たちに穴へ落とされ、エジプトへ売られたヨセフ……

このあと、どうなっちゃうマボか~!?

今回は珍しく、

 

物語に突っ込んでいくことはせず

 

聖書のストーリーを順に追っていくこととします。

 

ファラオの夢

無実の罪で牢に入ったヨセフは、夢解きをする

グイド・レーニー『ヨセフとポティファルの妻』

(J・ポール・ゲティ美術館、ロサンゼルス)

 

 

〈創世記39章の概要》

エジプトの宮廷の侍従長・ポティファルの奴隷となったヨセフ。

その才覚から主人の信頼を得るヨセフだったが、

主人の妻の誘惑を断ったことから、彼女に逆恨みされ、

無実ながらも投獄されてしまう。

 

 

〈創世記40章の概要》

牢の中のヨセフは、

同じ牢に入れられた給仕と料理人が見た不思議な夢について、

夢の意味を解き明かす。

 

夢の意味を解き明かす……

ヨセフには、不思議な力があったのねえ。

 

ファラオの夢を解き明かすヨセフ

アドリアン・ギニェ『ファラオの夢を解き明かすヨセフ』

(ルーアン美術館、ルーアン)

 

以下、新共同訳〈創世記第37章》
一般財団法人日本聖書協会HPより(2021年12月12日 閲覧)

 

〈創世記41:14-16》

牢での夢解きから2年後……

ある日、ファラオは不可解な夢を見るが、誰もその意味を解けない。

ファラオの夢を解き明かすために、ヨセフは牢から呼び出される。

 

  • そこで、ファラオはヨセフを呼びにやった

ヨセフは直ちに牢屋から連れ出され

散髪をし着物を着替えてから、ファラオの前に出た。

 

  • ファラオはヨセフに言った。

「わたしは夢を見たのだが、それを解き明かす者がいない。

聞くところによれば、お前は夢の話を聞いて、解き明かすことができるそうだが。」

 

  • ヨセフはファラオに答えた。

「わたしではありません。

神がファラオの幸いについて告げられるのです。」

 

アントーニ・ファン・モントフォート『ファラオの夢を解き明かすヨセフ』

(ユトレヒト中央博物館、ユトレヒト)

 

〈創世記41:25-41:40》

ヨセフは夢解きと進言をし、ファラオはヨセフを宰相とする。

 

  • 今から七年間、エジプトの国全体に大豊作が訪れます。

 

  • しかし、その後に七年間、飢饉が続き、

エジプトの国に豊作があったことなど、すっかり忘れられてしまうでしょう。

飢饉が国を滅ぼしてしまうのです。

 

  • この国に豊作があったことは、

その後に続く飢饉のために全く忘れられてしまうでしょう。

飢饉はそれほどひどいのです。

 

  • ファラオが夢を二度も重ねて見られたのは、

神がこのことを既に決定しておられ、

神が間もなく実行されようとしておられるからです。

 

  • このような次第ですから、ファラオは今すぐ、

聡明で知恵のある人物をお見つけになって、エジプトの国を治めさせ、

 

  • また、国中に監督官をお立てになり、

豊作の七年の間、エジプトの国の産物の五分の一を徴収なさいますように。

 

  • このようにして、これから訪れる豊年の間に食糧をできるかぎり集めさせ、

町々の食糧となる穀物をファラオの管理の下に蓄え、保管させるのです。

 

  • そうすれば、その食糧がエジプトの国を襲う七年の飢饉に対する国の備蓄となり、

飢饉によって国が滅びることはないでしょう。」

 

  • ファラオと家来たちは皆、ヨセフの言葉に感心した。

 

  • ファラオは家来たちに、

「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い、

 

  • ヨセフの方を向いてファラオは言った。

「神がそういうことをみな示されたからには、

お前ほど聡明で知恵のある者は、ほかにはいないであろう。

 

  • お前をわが宮廷の責任者とする。

わが国民は皆、お前の命に従うであろう。

ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」

 

なんと……牢獄に入れられていた奴隷から、

エジプトの宰相に大出世マボよ~はて~!

 

やっぱり、夢の意味を解き明かすような特殊能力があると違うわねえ。

たしかに、ヨセフには夢を解き明かす力がありました。

 

しかし、夢を解くだけではなく、

「飢饉に備えて何をすべきか」

についての、政策提言もしています

 

特殊能力だけでなく、その賢さも見込まれたからこそ

エジプトのナンバー2の地位である宰相についた、

とも言えるでしょう。

たしかに、エジプトに奴隷として売られてきたときから、

主人のもとで、能力を発揮していたみたいですもんねえ。

 

兄たちとの再会

ヨセフの出世

バルトロメウス・ブレーンベルフ『民に小麦を売るヨセフ』

(バーバー美術館、バーミンガム)

 

〈創世記41章46節からの概要》

ヨセフの言葉どおりに、7年の大豊作、そして7年の大飢饉が訪れた。

エジプトでは、豊作の間、穀倉に穀物を貯めこみ、飢饉に備えることができた。

飢饉はエジプトのみならず世界各地に及んだため、

穀物を求める世界中の人々がエジプトを訪れるようになった。

 

有能ヨセフのおかげで、エジプトは助かったマボねえ。
そんなエジプトには世界中から食料を求めて人々がやってきます。

 

その中には、なんと、かつてヨセフを穴に落とした、ヨセフの兄たちの姿もあったのです。

なんと!

 

兄たちとの再会

ピーテル・ラストマン『穀物を売るヨセフ』

(アイルランド国立美術館、ダブリン

 

〈創世記42:7-42:15》

穀物を買いにエジプトへ来た兄たちに対し、

ヨセフは言いがかりをつけて牢に閉じ込めた上で、

末の弟・ベニヤミンを連れてくるよう求める。

 

  • ヨセフは一目で兄たちだと気づいたが

そしらぬ振りをして厳しい口調で、

「お前たちは、どこからやって来たのか」と問いかけた。

彼らは答えた。

「食糧を買うために、カナン地方からやって参りました。」

 

  • ヨセフは兄たちだと気づいていたが、兄たちはヨセフとは気づかなかった

 

  • ヨセフは、そのとき、かつて兄たちについて見た夢を思い起こした。

ヨセフは彼らに言った。

「お前たちは回し者だ。この国の手薄な所を探りに来たにちがいない。」

 

(中略)

 

  • 彼らは答えた。

「僕どもは、本当に十二人兄弟で、カナン地方に住むある男の息子たちでございます。

 末の弟は、今、父のもとにおりますが、もう一人は失いました。」

 

  • すると、ヨセフは言った。

「お前たちは回し者だとわたしが言ったのは、そのことだ。

 

  • その点について、お前たちを試すことにする。

ファラオの命にかけて言う。いちばん末の弟を、ここに来させよ。

それまでは、お前たちをここから出すわけにはいかぬ。

 

末弟・ベニヤミンは、父・ヤコブ(イスラエル)にかわいがられていたので、

 

今回、エジプトに来ていませんでした。

 

 

さて、このベニヤミンは、ヨセフと父も母も同じ、血がつながった弟です。

血のつながる弟に会いたかったマボかねえ。
ヨセフの本心は、聖書本文には明確には書かれていません。

 

さて、牢に入れられた兄弟のために、

残りの兄たちは約束どおり、ベニヤミンを連れてエジプトへ戻ってきます。

 

ヨセフの策略

兄たちは再びエジプトへ、しかし……

 

〈創世記43章の概要》

ベニヤミンを連れて戻って来た兄たち。

ヨセフは彼らを歓待し、会食をする。

 

はて、楽しい食事会でもしたマボか。

牢屋に閉じ込めていたかと思いきや、

弟のベニヤミンが来た途端、えらい違いマボ

ところが、この後、ヨセフは一計を案じます。

 

〈創世記44章 1節~17節の概要》

ヨセフは、兄弟たちの袋に食料を詰めてやる。

ヨセフのもとから兄弟たちは帰っていたところ、ヨセフの部下が彼らを引き留めると、

「銀の盃が盗まれた」「袋から盃が出てきた者は、奴隷になれ」と告げる。

兄弟たちの袋を開けさせると、ベニヤミンの袋から、ヨセフの銀の盃が出てくる。

実はそれは、ベニヤミンを傍に置こうとしたヨセフの策略だった。

 

ヨセフ……銀の盃を忍ばせるようなマネまでして、

ベニヤミンを手に入れたかったマボねえ。

ヨセフは、

 

「ベニヤミンだけが奴隷となり、他の兄弟たちは、安心して父親のもとへ帰るように」

 

と兄たちへ告げるのですが……

 

和解、エジプト移住、そして……

兄たちの懇願とエジプトへの移住

フランツ・アントン・マウルベルチュ『ヨセフと兄弟』

(ブダペスト国立西洋美術館、ブダペスト

 

〈創世記44章 18節~の概要》

兄たちは、ベニヤミンの身代わりとなって奴隷になる代わりに、

ベニヤミンを助けてほしい、とヨセフに懇願する、

 

 

〈創世記45章~50章の概要》

兄たちの懇願に感極まったヨセフは、兄たちに自分の正体を明かす。

兄たちと和解を果たしたヨセフは、

父・ヤコブ(イスラエル)や一族をエジプトに呼び寄せる。

こうして、イスラエルの一族はエジプトに移住することになる。

父・ヤコブは147歳まで生きながらえる。

 

〈創世記50:22-50:26》

  • ヨセフは父の家族と共にエジプトに住み、百十歳まで生き、

 

  • エフライムの三代の子孫を見ることができた。

マナセの息子マキルの子供たちも生まれると、ヨセフの膝に抱かれた。

 

  • ヨセフは兄弟たちに言った。

「わたしは間もなく死にます。

しかし、神は必ずあなたたちを顧みてくださり、

この国からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた土地に導き上ってくださいます。」

 

  • それから、ヨセフはイスラエルの息子たちにこう言って誓わせた。

「神は、必ずあなたたちを顧みてくださいます。

そのときには、わたしの骨をここから携えて上ってください。」

 

  • ヨセフはこうして、百十歳で死んだ。

 人々はエジプトで彼のなきがらに薬を塗り、防腐処置をして、ひつぎに納めた。

 

こうして、全50章の創世記は、

 

エジプトへの移住と、ヨセフの死で幕を閉じるのです。

最初の「天地創造」から、ここまできたかと思うと、感慨深いわねえ

「出エジプト記」へ繋げるための物語?

さて、ヘブライ語聖書の並び順では、

 

「創世記」の次は、「出エジプト記」へと繋がります

 

モーセがイスラエルの民を率いて、エジプトを出ていく物語です。

せっかくエジプトに移住したのに、また出て行っちゃうマボかあ。

 

まあ、いろいろあったんでしょうねえ。

ヘブライ語聖書の順番としては、「創世記」⇒「出エジプト記」となっていますが、

 

その成立は、「出エジプト記」の方が古い、と言われています。

 

そして、「出エジプト記」の舞台は、当然、エジプトから始まります。

 

 

ということは、「出エジプト記」の物語につなげるために、

 

後から作った「創世記」のラストが、「エジプト移住」で終わるよう描かれた

 

と考えることもできるわけですね。

この壮大なヨセフにまつわる物語に、そんな裏がある、という考察があるとは……。

あいかわらず、奥が深いわねえ。

こりゃあ、次の「出エジプト記」も楽しみマボよ!

 

まとめ

  • ファラオの夢解きをし政策提言をしたヨセフは、宰相に取り立てられる
  • 飢饉の中、エジプトにやってきた兄たちとヨセフは出会う
  • ベニヤミンを手に入れようと、ヨセフは一計を案じ、銀の盃を袋に忍ばせる
  • 兄たちの懇願に和解したヨセフは、一族をエジプトに呼び寄せる

 

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