【ノアの方舟】『ギルガメシュ叙事詩』と関係する「洪水物語」 【研究者Uの聖書講座】

こんにちは、はてはてマンボウです。

研究者Uさんの聖書講座のシリーズです!

 


 

 

 

【カインとアベル】弟殺しの原因は「嫉妬」なのか? 【研究者Uの聖書講座】

 

前回までの記事はこちらをチェックしてくれ~

 


 

こんにちは。

ユダヤ教の聖書解釈を専門にしている「研究者U」です。

 

今回は、ヘブライ語聖書(いわゆる「旧約聖書」)の「創世記」における、

 

大洪水で有名な「ノア」

 

の物語について見ていきましょう。

 

大洪水

ミケランジェロ・ブオナローティ『洪水』

(システィーナ礼拝堂、ヴァチカン)

 

さて、前回は、

「カインによる、弟・アベルの殺人」の物語

が中心でした。

 

今回は、その後の人類の子孫である、

「ノア」と、大洪水の物語

について見ていきます。

 

まずは、聖書に何が書かれているのか見ていきましょう。

 

 

 

 

 

新共同訳〈創世記6:6-6:9》
(2021年11月11日 閲覧)

 

神は自分で人間を作っておきながら、

 

人間を作ったことを後悔し、滅ぼそうとします

 

勝手な人マボねえ……あ、人じゃなくて神だったマボ
ただし、神はノアの家族だけは生き残れるように取り計らい、彼らに方舟を作るよう命じます。

 

方舟には、地上の動物たちも乗ることになりました。

 

 

 

新共同訳〈創世記6:17-6:20》
(2021年11月11日 閲覧)

 

2つずつ……動物たちは1ペアで、方舟に乗り込んだマボねえ。

 

方舟に乗った動物は……

結局どれだけの動物が方舟に乗ったのか

エドワード・ヒックス『ノアの方舟』

(フィラデルフィア美術館、フィラデルフィア)

 

雄と雌の2匹が1ペアで、方舟に乗った……

そんな描写をしておきながら、聖書にはすぐこんな描写が現れます。

 

 

 

 

 

新共同訳〈創世記7:1-7:5》
(2021年11月11日 閲覧)

 

はて、7つがい……

話が違うマボ、なぜマボか。

そしてその直後……

 

 

 

 

新共同訳〈創世記7:6-7:9》
(2021年11月11日 閲覧)

 

2つずつ……ということは、1ペアの1つがいに戻ってるマボ

なぜマボか~はて~

 

2つの伝承の合成

これまでも、

 

創世記の第1章と第2章とで、つじつまの合わないところが見られる

 

ということがありましたね。

聖書の中に異なる伝承を挿入したので、

「第1章」と「第2章」とでうまくつながらないところが生まれたのでは、

という話でしたね。

この創世記の第7章においては、

「第7章」という1つのかたまりの中でも、違う伝承が入っているのでは、と考えられます。

 

 

つまり、「7つがい」としている1~5節と、

 

「1つがい」としている6~9節は、

 

異なる伝承から話を持ってきたのでは、というわけですね。

 

「1つがい」ずつだと、動物は滅びる!?

ドメニコ・モレッリ『方舟を出た後のノアによる感謝の祈り』

(ドロテウム、ウィーン)

さて、洪水を生き延びたところで、

 

ノアは祭壇を築き、いけにえを捧げます。

 

 

 

 

 

 

新共同訳〈創世記8:15-8:20》
(2021年11月11日 閲覧)

 

さきほど、「7つがい」か「1つがい」か、という話をしていましたが、

 

仮に方舟に乗った動物が「1つがい」だと、

 

せっかく生き延びた動物を、いけにえに捧げるために、

 

ここでノアが焼き尽くして絶滅させてしまう

 

ということになってしまいます。

洪水を生き延びたのに焼き滅ぼすなんて~

 

クレイジーな話になってしまうマボよ~

というわけで、第8章のこのシーンはおそらく、

「7つがい」

の伝承がベースになっているものと思われます。

 

古代世界の洪水物語

ジョン・マーティン『大洪水』

(イェール英国芸術センター、コネティカット)

 

さて、ここまでノアの方舟と大洪水の物語を見てきたわけですが、

実は、洪水にまつわる古代の物語は、聖書以外にもあるんです。

なんと。
例えば、有名な『ギルガメシュ叙事詩』にも、大洪水の物語が見られます。

 

六日〔と六〕晩にわたって

風と洪水が押しよせ、台風が国土を荒らした

 

(中略)

 

私は鳩を解き放してやった

鳩は立ち去ったが、舞いもどって来た

休み場所が見あたらないので、帰ってきた

 

私は燕を解き放してやった

燕は立ち去ったが、舞いもどって来た

休み場所が見あたらないので、帰ってきた

 

私は大烏を解き放してやった

大烏は立ち去り、水が引いたのを見て

ものを食べ、ぐるぐるまわり、カアカア鳴き、帰って来なかった

 

そこで私は四つの風に(鳥のすべてを)解き放し、犠牲を捧げた

 

 

矢島文夫(1998)

『ギルガメシュ叙事詩』(ちくま学芸文庫)

 

 

 

 

 

 

新共同訳〈創世記8:15-8:20》
(2021年11月11日 閲覧)

 

『ギルガメシュ叙事詩』は、ハト⇒ツバメ⇒カラスで、

 

『聖書』は、カラス⇒ハト⇒ハト⇒ハト

 

というわけマボかあ。

 

 

「洪水が起きた後に、鳥を飛ばして水が引いたか確認する」

「犠牲を捧げる」

 

というモチーフはよく似ているマボねえ。

『ギルガメシュ叙事詩』以外にも、

 

これとよく似た「洪水物語」を収録している古代の物語はいくつかあります

 

また、『ギルガメシュ叙事詩』は、『ヘブライ語聖書』よりも成立は古いと考えられています。

なので、『聖書』の「ノアの方舟」の物語が「洪水物語」の起源だ、

とは言いにくいわけですね。

『ギルガメシュ叙事詩』が書かれたメソポタミア地域には、

 

ティグリス川やユーフラテス川という巨大な河川があります。

 

 

この地域では、洪水というのは身近な災害だったのでは

 

そして、そんな身近な災害をモチーフにしながら、

 

古代世界では「洪水物語」が発展していき、

 

『聖書』にも影響を与えたのでは、と考えられるわけですね。

 

まとめ

  • 聖書の「創世記」第7章の中でも、動物は「7つがい」なのか「1つがい」なのかで、つじつまの合わないシーンが見られる。
  • ちなみに、方舟に乗った動物が「1つがい」だと、洪水後に祭壇でいけにえを捧げるシーンで、動物は焼き滅ぼされてしまう……。
  • 古代世界には、同じような「洪水物語」が見られ、これが「ノアの方舟」のエピソードの成立に影響を与えたと考えられる。

 

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