

ルーカス・クラーナハ『ユディト』
(美術史美術館、ウィーン)

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メデューサ

カラヴァッジョ『メデューサ』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
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しかし英雄ペルセウスに打ち取られたメデューサの首は、戦いの神・アテナへ献上される。アテナはメデューサの首を盾につけるようになり、より強力な女神となった……というわけで、盾に描かれた首としてメデューサの首はしばしば描かれるんだ。
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オルフェウス

ギュスターヴ・モロー『オルフェウスの首を抱くトラキアの娘』
(オルセー美術館、パリ)

最愛の妻・エウリュディケを亡くしたオルフェウスは冥界に降り、妻を救い出そうとした。「冥界を出るまでは決して後ろを振り返ってはいけない」と言われていたオルフェウスだが、ふと妻の足音が聞こえなくなったため、つい後ろへ目をやってしまう……。
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ジョン・ウィリアムス・ウォーターハウス『オルフェウスを見つけたニンフたち』
(個人蔵)
ひとり地上へと戻ったオルフェウスは女性との愛の一切を断ち、丘の上で悲嘆に暮れながら竪琴を奏で続けた。
豊穣と芸術の神ディオニュソスの巫女、胸に鹿の皮をつけたトラキアの女たちは、オルフェウスを女性の侮蔑者だとして殺害したうえに八つ裂きにしてしまう。
小林 智広編(2014)『怖くて美しい世界の名画』(綜合図書)

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レディ・ジェーン・グレイ

ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー、ロンドン)
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しかし、在位わずか9日間でメアリー1世に廃位され、そしてその7か月後に大逆罪で斬首刑に処された16歳の少女だ。
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細密描写の説得力で現実の場面のように錯覚してしまうが、実際の処刑はロンドン塔内の戸外で行われた。何も分からぬまま歴史の荒波に呑みこまれた悲劇的な美少女の最期が美化され、美しい場面にすり替えられて描かれている。
岡本弘毅ほか編(2017)『怖い絵展』(産経新聞社)
ダヴィデとゴリアテ

カラヴァッジョ『ゴリアテの首を持つダヴィデ』
(ボルゲーゼ美術館、ローマ)
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そんなゴリアテを、ダヴィデはなんと石を投げて頭にぶつけるだけで倒してしまう。
そうして首を斬り落とすと、ペリシテ軍は総崩れになった、というストーリー。
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そういうわけで、野蛮なテーマながらも、その王の思慮深さを示すゆえか、ゴリアテの首を持つダヴィデはどこか思惑を示すような表情で描かれることも多い。
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まとめ
- メデューサについて、その伝説から首が盾に描かれる絵画が生まれた
- オルフェウスは、冥界の旅の末、身体を文字通り引き裂かれる悲哀の物語
- 巨人ゴリアテを投石で破ったユダヤの将来の王・ダヴィデはそのテーマが好んで描かれた

参考文献
- 岡本弘毅ほか編(2017)『怖い絵展』(産経新聞社)
- 小林 智広編(2014)『怖くて美しい世界の名画』(綜合図書)