【首を斬られる絵画たち①】メデューサ/オルフェウス/ゴリアテ/レディ・ジェーン・グレイ|首をめぐる西洋絵画4選

こんにちは、はてはてマンボウです。今回のテーマは……

ルーカス・クラーナハ『ユディト』

(美術史美術館、ウィーン)

 

ひょ、ひょええ、く、首が……
今回のテーマは「首を斬られる絵画たち」
梓
梓
な、なんて趣味まぼか~怖いまぼ~
ところがなんと、西洋絵画では「首を斬られる」というテーマが多いんだ。
梓
梓
は、はて……怖いけど、少しずつ見ていこうかしらねえ

 

メデューサ

カラヴァッジョ『メデューサ』

(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)

 

ギリシャ神話の「首」といえば、このメデューサだ。
梓
梓
髪の毛が蛇だらけまぼ~
メデューサは蛇の頭髪をもち、見た者を石に変えてしまうと恐れられていたんだ。

しかし英雄ペルセウスに打ち取られたメデューサの首は、戦いの神・アテナへ献上される。

アテナはメデューサの首を盾につけるようになり、より強力な女神となった……

というわけで、盾に描かれた首としてメデューサの首はしばしば描かれるんだ。

梓
梓

 

オルフェウス

ギュスターヴ・モロー『オルフェウスの首を抱くトラキアの娘』

(オルセー美術館、パリ)

 

首が女性に抱きかかえられています。これは……
これは竪琴の名手・オルフェウスの物語。

最愛の妻・エウリュディケを亡くしたオルフェウスは冥界に降り、妻を救い出そうとした。

「冥界を出るまでは決して後ろを振り返ってはいけない」

と言われていたオルフェウスだが、

ふと妻の足音が聞こえなくなったため、つい後ろへ目をやってしまう……。

梓
梓
それで、奥さんが冥界に取り残されてしまったまぼね……
そのあとのオルフェウスを待っていたのは、さらなる悲劇だった……。
梓
梓

 

ジョン・ウィリアムス・ウォーターハウス

『オルフェウスを見つけたニンフたち』

(個人蔵)

 

ひとり地上へと戻ったオルフェウスは女性との愛の一切を断ち、丘の上で悲嘆に暮れながら竪琴を奏で続けた。

豊穣と芸術の神ディオニュソスの巫女、胸に鹿の皮をつけたトラキアの女たちは、

オルフェウスを女性の侮蔑者だとして殺害したうえに八つ裂きにしてしまう。

 

小林智広編(2014)『怖くて美しい世界の名画』(綜合図書)

なんと! 真面目に奥さんを想っていただけなのに……
ちなみに、このときに頭と共に流れていった竪琴は主神ゼウスに拾われ、「こと座」として天に昇ることになる。
梓
梓

 

ダヴィデとゴリアテ

カラヴァッジョ『ゴリアテの首を持つダヴィデ』

(ボルゲーゼ美術館、ローマ)

 

さて、今度は聖書の物語。

のちにユダヤの王となるダヴィデが、若いころにゴリアテと戦った物語だ。

梓
梓
ゴリアテ……なんだか聞いたことがあるような
『風の谷のナウシカ』に出てくる大型戦艦の名前だからじゃないかな。
梓
梓
はて!
そのモデルになったゴリアテも、巨人の代名詞。

かつてユダヤの民と争っていたペリシテ人の最強の戦士として恐れられていた。

ダヴィデは石を投げてゴリアテの額に命中させ、彼を倒した。

その後、ゴリアテの剣で首を斬り落とす。

そうして、ペリシテ軍は総崩れになった、というストーリー。

梓
梓
なんだか都合がいい展開のような……まぼ
そこは、ユダヤに伝説を刻んだ王だから、ね?

ゴリアテの首を持つダヴィデは、勝利を誇るというより、

思慮深さを示すような表情で描かれることも多い。

梓
梓

 

レディ・ジェーン・グレイ

ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』

(ロンドン・ナショナル・ギャラリー、ロンドン)

 

さて、一度神話の世界を離れてみよう。
梓
梓
今回は、まだ首を斬られていませんが、そのうち……
レディ・ジェーン・グレイは、血縁と政治的な巡り合わせから、イングランドの女王として即位した。

しかし、在位はわずか9日間で、メアリー1世に廃位された。

そして、即位から約7か月後、16歳で大逆罪により斬首されることに……。

梓
梓

 

細密描写の説得力で現実の場面のように錯覚してしまうが、

実際の処刑はロンドン塔内の戸外で行われた。

何も分からぬまま歴史の荒波に呑みこまれた悲劇的な美少女の最期が美化され、

美しい場面にすり替えられて描かれている。

 

岡本弘毅ほか編(2017)『怖い絵展』(産経新聞社)

 

まとめ

  • メデューサについて、その伝説から首が盾に描かれる絵画が生まれた。
  • オルフェウスは、冥界の旅の末、身体を文字通り引き裂かれる悲哀の物語。
  • 巨人ゴリアテを投石で破ったユダヤの将来の王・ダヴィデはそのテーマが好んで描かれた。
  • レディ・ジェーン・グレイの処刑を描いた作品からは、歴史上の悲劇が絵画でどのように表現されたかを考えられる。

 

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悲しい表現の絵画たち……その背景をまとめたシリーズの記事です。

 

参考資料

  • 岡本弘毅ほか編(2017)『怖い絵展』(産経新聞社)
  • 小林智広編(2014)『怖くて美しい世界の名画』(綜合図書)