【カインとアベル】弟殺しの原因は「嫉妬」なのか? 【研究者Uの聖書講座】

こんにちは、はてはてマンボウです。

研究者Uさんの聖書講座のシリーズです!

 


 

 

 


 

こんにちは。

ユダヤ教の聖書解釈を専門にしている「研究者U」です。

 

今回は、ヘブライ語聖書(いわゆる「旧約聖書」)の「創世記」における、

 

「カインとアベル」

 

の物語について見ていきましょう。

 

カインとアベル:弟殺しの物語

ミシェル・コクシー『アベル殺し』

(プラド美術館、マドリード)

 

さて、前回は、

「人間の誕生」「エデンの園での出来事」

が中心でした。

 

今回は、アダムとイブの子どもである、

「カイン」と「アベル」

について見ていきます。

 

まずは、聖書に何が書かれているのか見ていきましょう。

 

  • さて、アダムは妻エバを知った。
    彼女は身ごもってカインを産み
    「わたしは主によって男子を得た」と言った。
  • 彼女はまたその弟アベルを産んだ。
    アベルは羊を飼う者となり、
    カインは土を耕す者となった。
  • 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。
  • アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。
    主はアベルとその献げ物に目を留められたが、
  • カインとその献げ物には目を留められなかった。
    カインは激しく怒って顔を伏せた。
  • 主はカインに言われた。
    「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。
  • もしお前が正しいのなら、顔を上げられるはずではないか。
    正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。
    お前はそれを支配せねばならない。」
  • カインが弟アベルに言葉をかけ、
    二人が野原に着いたとき、
    カインは弟アベルを襲って殺した。
新共同訳〈創世記4:1-4:8》
(2021年10月30日 閲覧)

 

お兄ちゃんのカインが、

神様に相手にされなかったのを怒って

弟のアベルを殺しちゃったわけマボね……。

 

なぜカインはアベルを殺したのか?

「嫉妬」が原因?

バルトロメオ・マンフレディ『アベルを殺すカイン』

(美術史美術館、ウィーン)

 

さて、カインがアベルを殺した理由……。

マンボウちゃんは、何だと思いますか?

「カインがアベルに嫉妬したから」

じゃないマボか?

 

アベルの捧げ物だけが神に受け入れられて、

カインの捧げ物は拒否されていましたし……。

ところが、そうじゃないかもしれない可能性があるんです。
お、ピーンと来たマボよ!

 

 

これは、「聖書本文には書かれていない」パターンだと、

マンボウちゃんは見抜いたマボ!

 

 

「『嫉妬が理由で殺した』、とは聖書本文には書かれていない」

が正解マボね?

確かに、「聖書本文に書かれていない」というのも、

殺人の原因が「嫉妬」だと言い切れない理由の1つではあります。

 

 

今回は、加えて、もう1つの理由について考えていきましょう

 

ここで、聖書本文の、創世記4章8節を見てください。

 

カインが弟アベルに言葉をかけ、

二人が野原に着いたとき、

カインは弟アベルを襲って殺した。

 

このシーンで、カインはアベルにどんな言葉をかけたと思いますか?

「おい、アベル~、ちょっと一緒に野原行こうぜ~」

みたいな感じだったマボかねえ。

 

とはいえ、実際には、カインが何と言っていたのかはわかりませんが……。

そこが、まさに重要なポイントなんです。
どういうことマボか?

 

聖書の「欠損」

聖書の原文は、手書きで内容が複製された「写本」となって広まっていきました。

すると、写本の中には、何らかの理由で一部が「欠損」しているものもあります。

 

そしてなんと、

「カインが弟アベルに言葉をかけ」

の記述の後に、欠損が見られる写本があるのです。

 

カインが弟アベルに言葉をかけ、 (欠損) 二人が野原に着いたとき、
カインは弟アベルを襲って殺した。
「カインが弟アベルに言葉をかけ」

という描写があるということは、

カインはアベルに何かを言っているはず。

 

しかし、ここでカインがアベルに語りかけたであろう言葉は、

聖書のどこにも書かれていません。

 

そして、ここに欠損が見られるということは……。

ということは、

欠損しているのは「カインとアベルの会話」

ということでしょうか!?

もちろん、断定はできないものの、

 

この欠損した部分で2人は会話を交わしており、

そこには、カインがアベルを殺すことになった決定的な理由が描かれていたのかもしれない

 

と考えることもできるわけです。

聖書を素直に読んだら「嫉妬」が殺人の原因と思いますが、

ひょっとしたら、「嫉妬」以外の理由が書かれていた可能性もあるわけマボねえ。

繰り返しますが、あくまでこの考えは1つの可能性に過ぎません

そして、この考えが正解である可能性は、実際はあまり高くないでしょう。

 

しかし、あくまで可能性の1つとして、

「ここにアベル殺人の重大なヒントがあったのでは?」

と夢を見ることも、また楽し、というわけです。

 

「アダム」「イブ」「カイン」以外の人間たち……むむむ?

エデンの東へ去るカイン

さて、ここからは、

「カインとアベル」の物語で、

気になるシーンを取り上げてみましょう。

 

新共同訳〈創世記4:1-4:8》
(2021年10月30日 閲覧)

 

この人たち……誰!?

ピエトロ・ノベッリ『カインとアベル』

(国立古典絵画館、ローマ)

 

カインも、エデンの東に退散マボねえ。
さて、このシーンには、これまでの創世記の描写とつじつまが合わない部分があります。
はて?
この時点で、この世界には、

①アダム ②イブ ③カイン

3人しか生きていないはずです。

 

だったら、カインを攻撃しようとする人の心配なんて要らないはずですよね。

 

さらに、「カインは妻を知った」とありますが……。

この「妻」、誰マボか~~!?

は、はて……。

『古事記』の「海幸山幸」や、ギリシャ神話の兄弟神たちなど、

世界中の神話や伝承において、「兄弟」にまつわる物語はよくあります。

 

おそらく、「カインとアベル」の物語についても、

とある兄弟物語の伝承を、創世記の文脈に当てはめたので、

つじつまが合わなくなってしまったのでは、

と考えることもできるわけです。

 

まとめ

  • カインがアベルを殺した原因が「嫉妬」だとは、聖書の中では明言されていない。
  • 聖書の記述には、時折「欠損」により「抜け落ち」が生まれている可能性がある。
  • 「アダム」「イブ」「カイン」の3人しか生きていないはずのシーンで、他の人物が登場するのは、「創世記の文脈とつじつまが合わない形で、他の伝承が取り込まれたから」と考えることもできる。

 

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