研究者Uさんの聖書講座のシリーズです!
【出エジプト記/モーセ】⑦「十戒」の数え方は? 【研究者Uの聖書講座】
前回までの記事はこちらをチェックしてくれ~
ユダヤ教の聖書解釈を専門にしている「研究者U」です。
今回は、ヘブライ語聖書(いわゆる「旧約聖書」)の「出エジプト記」に関して、
「十戒以外の戒律」
のシーンを中心に見ていきましょう。
ひたすら戒律の説明
「目には目を」?
実は、そのほかにも様々な戒律を与えています。
十戒の後の21章から31章までは、ひたすら日常生活に係わる戒律や裁判方法について説明していますので、
ここでは、その1つをご紹介しましょう。
新共同訳〈出エジプト記21:22-25》
一般財団法人日本聖書協会HPより
(2022年4月17日 閲覧)
トーマス・ハドソン・ジョーンズ『ハンムラビ』
※大理石製のレリーフ
(アメリカ合衆国議会議事堂、ワシントンD.C.)
むしろ「ハンムラビ法典」の方が古い可能性が高いと考えられます。
いずれにしても、聖書自体がどこまで「ハンムラビ法典」を意識していたかはわかりません。
そもそも「目には目を」というフレーズそのものが当時の一般的な言い回しだったのではと考えることもできます。
同害復習
「目に目を、歯に歯を」
と言われたら、どんなイメージが湧きますか?
やったるマボよ~
「目をつぶされたら、相手の目をつぶす返すところまでしか認めませんよ」
と、復讐の上限を決めているわけです。
血の気の多い人たちを、むしろいさめるような内容だったわけマボかあ。
獣姦の禁止
ほかにも、特徴的なものを1つご紹介します。
新共同訳〈出エジプト記22:18》
一般財団法人日本聖書協会HPより
(2022年4月17日 閲覧)
わざわざ禁止されているということは、
当時、それをする人間がいた、ということです。
聖書の記述からは、そういうことも伺えるわけですね。
時系列の混乱
ホセ・デ・リベーラ『モーセ』
(国立サン・マルティーノ博物館、ナポリ)
主はシナイ山でモーセと語り終えられたとき、二枚の掟の板、
すなわち、神の指で記された石の板をモーセにお授けになった。
新共同訳〈出エジプト記31:18》
一般財団法人日本聖書協会HPより
(2022年4月17日 閲覧)
20章では、神に呼ばれたモーセは神のもとへ向かいます。
新共同訳〈出エジプト記20:21》
一般財団法人日本聖書協会HPより
(2022年4月17日 閲覧)
しかし、24章ではこんなくだりがあります。
新共同訳〈出エジプト記24:12-14》
一般財団法人日本聖書協会HPより
(2022年4月17日 閲覧)
20章で、モーセだけが神のもとへ向かって、民は遠くにいたはずなのに、
24章では、モーセが神のところへ行こうとするシーンがまた出てきたマボ。
民もモーセの近くにいるみたいですし。
詳しく考えても答えは出ないので、次の流れを押さえておけば十分でしょう。
- モーセ一行が、荒野をさまよった
- 神に呼ばれたモーセがシナイ山を登った
- 神から多くの戒律を授かった
「金の子牛像事件」
を中心に見ていきます。
次回で、「出エジプト記」に関する記事は最終回です。
まとめ
- 聖書内にも「目には目を」という記述はあるが、「ハンムラビ法典」との関係は定かではない
- 「目には目を」は、復讐のやりすぎを禁じる法
- モーセが神と対話しているシーンは時系列があやふやだが、とにかくモーセは、様々な戒律を神から授かった
研究者Uさんの、「聖書」に関する専門講義の続きはこちらをチェックまぼ!
参考記事
出エジプト記
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