今回のテーマは、2021年終わりから2022年の5月末まで開催された、
「メトロポリタン美術館展」です。
1870年に創立されたアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館は、
先史時代から現代まで、5000 年以上にわたる世界各地の文化遺産を包括的に所蔵しています。
本展では、同館を構成する17部門のうち、
ヨーロッパ絵画部門に属する約2500点の所蔵品から、
選りすぐられた珠玉の名画65 点(うち46 点は日本初公開)を展覧します。
15 世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派まで、
西洋絵画の500 年の歴史を彩った巨匠たちの傑作が、一挙来日します。
フラ・アンジェリコ、ラファエロ、クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコから、
カラヴァッジョ、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、レンブラント、 フェルメール、
ルーベンス、ベラスケス、プッサン、ヴァトー、ブーシェ、
そしてゴヤ、ターナー、クールベ、マネ、モネ、ルノワール、ドガ、ゴーギャン、ゴッホ、セザンヌまで、
時代順に3章構成でご紹介します。
メトロポリタン美術館が誇る至高の名画を、ぜひご堪能ください。
大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」より
(2021年12月23日閲覧)
※大阪市立美術館では、2021年11月13日(土)~2022年1月16日(日)公開
国立新美術館では、2022年2月9日(水)~2022年5月30日(月)公開
今回の展覧会は、有名画家たちの作品を一挙に楽しむチャンスだね。
そこで今回は、
「『メトロポリタン美術館展』の概要」を通して、
美術史の概要も併せて見ていこう。「
展覧会は3章構成
- 信仰とルネサンス
- 絶対主義と啓蒙主義の時代
- 革命と人々のための芸術
の3章構成になっているよ。「
でも、それぞれ、どんな時代マボか?
- Ⅰ.信仰とルネサンス
〇時代:15世紀~17世紀初頭
〇様式:ルネサンス⇒マニエリスム
- Ⅱ.絶対主義と啓蒙主義の時代
〇時代:17世紀~18世紀末
〇様式:バロック⇒ロココ
- Ⅲ.革命と人々のための芸術
〇時代:19世紀初頭~20世紀初頭
〇様式:新古典主義⇒ロマン主義⇒写実主義⇒自然主義⇒印象派⇒ポスト印象派
最後の方は、急に様式がコロコロ変わってますマボけど。
社会の価値観の変化が速くなったのに合わせて、
芸術の様式の変化も多様化していった、
という感じかな。
さて、ここからは、各章の作品をダイジェストで見ていくことにしよう。
Ⅰ.信仰とルネサンス
イタリアで芸術が花開いた「ルネサンス」時代の作品でスタートするよ。
このときには、絵画のお題は「キリスト教」、つまり「信仰」が中心にあった。
加えて、ルネサンス時代の人々が理想とした「ギリシャ・ローマ時代」の神話の物語も、画題として好まれたんだ。
【初期ルネサンス】フラ・アンジェリコ『キリストの磔刑』
ルネサンスまで、絵画というのはだいたいヘタウマみたいな絵ばっかりなんだけど、
この時代になると、だんだんと「人間らしさ」が見られるようになってくる。
オラついてるマボよ~。
【盛期ルネサンス】ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『ヴィーナスとアドニス』
メディチ家が支配するフィレンツェ、
そして、ローマ教皇が芸術家たちをパトロンとしたローマで、
多くの画家が活躍した。
ラファエロとか、
ミケランジェロなんかも、
この時代に、フィレンツェやローマで活躍してるマボよねえ。
ティツィアーノは「ヴェネツィア派」を代表する一人。
流れるような奔放な筆さばきや、
暗い色調でも有名だね。
ギリシャ・ローマ神話の絵画をたくさん描いてますよねえ。
【マニエリスム】エル・グレコ『羊飼いの礼拝』
芸術家たちは、偉大な先人の技巧(マニエラ)の模倣を繰り返すようになっていく。
そのせいか、むしろ人間らしさから離れ、極端に尖った作風が増え始める。
縦長のキャンバスに痩せた身体の人や、
鮮やかな色使い、
そして、下書きのように荒っぽいタッチが特徴的だ。
「あ、エル・グレコだ」
わかるから、
見る側としては楽でいいわねえ。
Ⅱ.絶対主義と啓蒙主義の時代
ルネサンスから、次の時代へと移り変わっていく。
絶対主義、すなわち君主が強い力を握るこの時代、
ヨーロッパではフランスが国力を伸ばしていくと、
芸術の中心も、やがてイタリアからフランスへと移り変わっていくんだ。
【バロック/イタリア】カラヴァッジョ『音楽家たち』
カラヴァッジョの『音楽家たち』だ。
アンニュイな顔してるマボよお。
また、この絵画にはその特徴はあまり見られないけれど、カラヴァッジョといえば、
暗闇と光の陰影の対比で、ドラマティックな表現の絵画を描いたことでも有名だ。
これは、彼が生きた時代の、バロック様式の特徴でもあるね。
【バロック/フランドル】ヨハネス・フェルメール『信仰の寓意』
ただし、オランダでは、市民階級に受けの良い作品が好まれた。
そんな中、教養溢れる市民たちにウケるような「寓意画」を多く描いたのが、フェルメールだ。
なんだか、この人、はてついてませんかねえ。
「はて顔」のような、はてはて……。
「キリストの磔刑像」
「つぶれた蛇」
「リンゴ」
など、さまざまな「隠喩」の隠れたモチーフが並んでいるね。
フェルメールの特徴をまとめた記事の中で『信仰の寓意』を取り上げたので、
モチーフに隠れた意味が気になる人はそちらをチェックまぼよ!
【ロココ】フランソワ・ブーシェ『ヴィーナスの化粧』
さっきのルネサンス時代に見た、ティツィアーノのヴィーナスとずいぶん雰囲気が違うマボねえ。
劇的でメリハリの利いた画風が好まれたバロック時代とは打って変わり、
ロココの時代になると、優美で繊細な印象の絵画が増えていった。
Ⅲ.革命と人々のための芸術
バロック、ロココと来て、さらに次の時代へ。
フランス革命や産業革命を経て市民生活や価値観の変動が起きると、
次から次へと、新しい様式が生まれるようになっていくんだ。
【新古典主義】ジャン=レオン・ジェローム『ピュグマリオンとガラテア』
そんな軽薄な最近の流行よりも、
古典、すなわち「ルネサンス」があこがれた「ギリシャ・ローマ時代」に立ち返れ!
といった運動が始まる。
題材となっている『ピグマリオン』は、
ギリシャ・ローマ時代の神話を集めた、オヴィディウスの『返信物語』
に収録されている物語の1つだよ。
【印象派】アルフレッド・シスレー『ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋』
同時代の激しさを描こうとした「ロマン主義」や、
人々のありのままの生活を描こうとした「写実主義」「自然主義」
といった、新しい絵画様式が生まれ始めていた。
そんな潮流の中、さらなる異端児として生まれたのが「印象派」なんだ。
まさか、そんな反逆児みたいな背景からやってきていたとは……。
この『ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋』は、
夏のにおいを思い起こさせるような、
空と川と穏やかな光の美しさを感じさせてくれるね。
【印象派】エドガー・ドガ『踊り子たち、ピンクと緑』
たしかに、タッチはそれっぽいマボけど……。
さっきのシスレーの鮮やかな風景画とは、ちょっと雰囲気が違うマボねえ。
加えて、彼のもう1つの大きな特徴が、「バレエ」の、それも楽屋のような舞台裏の様子を扱った主題が多い、ということ。
芸術様式は、19世紀になって、どんどん変化するようになっていたマボねえ。
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