【帝国】① ペルシャ/ローマ/オスマン/フランス……╿帝国の定義とは?

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回のテーマは……

 

「帝国」、ですか。

マンボウちゃんは「帝国」と言われてイメージが湧くかな。
梓
はて、皇帝がいる国、マボかねえ。
それじゃあ、皇帝と王様の違いは?
梓
はて。皇帝の方がなんか、偉そうマボけど。

 

結局帝国って何マボか~

 

世界史に出てくる「帝国」の数々

世界史の授業を習っていると、

 

「〇〇帝国」

 

という名前でたくさんの国々が出てくる。

梓

 

古代

『イッソスの戦い』

(ナポリ国立考古学博物館、ナポリ)

 

  • アッシリア帝国
  • ペルシャ帝国
  • アレクサンドロス大王の帝国
  • ローマ帝国

 

アレクサンドロス大王とかローマ帝国とかは聞いたことあるマボねえ。
『イッソスの戦い』は、

 

アレクサンドロス大王とペルシャ帝国のダレイオス3世との決戦を描いたモザイク画

 

として有名だ。

梓

 

中世

  • 東ローマ帝国(ビザンツ帝国)
  • 西ローマ帝国
  • 神聖ローマ帝国

 

「ローマ」がいっぱい出てきてこんがらがってくるマボ……
これだけローマがたくさん出てくるのは、

 

395年にローマ帝国が分裂して以降、

 

「ローマの後継者」がいっぱい出てくるからだ。

梓

 


 

 

『ローマ』の継承者としての紋章╿「双頭の鷲」ってなんですか?

ローマ帝国について見たい方は、こちらをチェックしてくれ~。

 


 

アジアにもいくつもの帝国が生まれるのがこの時代。
梓

 

  • モンゴル帝国
  • ティムール帝国
  • オスマン帝国

 

近世以降

ヨーロッパでは帝国と呼ばれる国々が数多く存在する。
梓

 

ダヴィド

『ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠』

(ルーヴル美術館、パリ)

 

  • ロシア帝国
  • オーストリア帝国
  • フランス帝国(第一帝政、第二帝政)
  • ドイツ帝国
  • 大英帝国

 

同じヨーロッパでもいろいろな帝国があるマボねえ。
フランス皇帝・ロシア皇帝・神聖ローマ皇帝の三人がアウステルリッツで一堂に会して戦うことさえあった。

「アウステルリッツの三帝会戦」

 

なんて呼ばれているね。

梓

 

アウステルリッツの三帝会戦

『ナポレオン-獅子の時代-』より

 

長い時代を通して中国の各時代には皇帝がいたし、日本も戦前は「大日本帝国」を名乗っていた。

意外と、「帝国」っていうのはいろいろなところにあるんだ。

梓

 

「帝国」の定義

いろいろあるのはわかったマボけど、結局帝国って何なんですか。
いろいろな使われ方をしているせいで、実のところ、定義はバラバラなんだ。

ただ、

 

多民族や複数の王国などを束ねる存在

 

という考えはしばしば使われるね。

梓

 

「帝国」とは歴史上に存在した諸帝国を表すと同時に、

近年は現代における超大国などをも意味する用語として、広く使われている。

 

(中略)

帝国を「大きな原理によって他民族・多言語・他宗教の人々を統合する版図の大きな国家」と定義しておきたい

軍事力や権力だけでは、どれほどの専制や圧政が行われたとしても、帝国は維持できない。

広大な地域で多様な人々が統治される以上、それらの人々を包摂しうる原理が必要である。

小杉秦(2016)

『興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード』

(講談社学術文庫)

「帝国(エンパイア)」とは、ラテン語で支配権あるいは統治権などを意味する「インぺリウム」に由来する語である。

ローマ時代に淵源を持つこのインぺリウムという概念は、古代末期より徐々にその意味を変容させてゆき、

広範な領域を支配する国家

という意味で用いられるようになった。

これがすなわち「帝国」である。

 

もちろん、オスマン帝国は「インぺリウム」ないしはそれに由来する国号を積極的に称したことはないから、この呼び方にも問題がないわけではない。

とはいえ歴史的な「帝国」という用語の成り立ちはともかく、

洋の東西を問わず、複数の地域を支配する広大な国家に対して歴史研究者が「帝国」という語をあてるのは、しばしばみられる用例である。

その意味において、「オスマン帝国」という呼称は、おそらくもっとも適切な呼び方だと思われる。

 

小笠原弘幸(2018)

『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』

(中公新書)

 

イスラーム世界や東アジア世界の「帝国」と、ヨーロッパ世界の「帝国」の概念が完全に一致するわけではないけれど、

 

東西どの帝国も「多民族を支配した」という考えが共通することは多いんだ。

 

さて、今回はここまで!

梓

 

まとめ

  • 各時代や地域にさまざまな「帝国」が同時に存在した。
  • 「帝国」とは多民族や複数の王国などを束ねる存在

 

関連記事

「帝国」「皇帝」とはなんぞやは、こちらの記事でまとめてますマボ~

 

  1.  帝国の定義
  2. 帝国/王国/公国/の違い╿ローマ帝国/カエサルの関係

 


 

ハプスブルク家とその歴史」のシリーズをまとめてます。みんな、チェックしてくれ~。

 

  1. 神聖ローマ帝国を治めたヨーロッパ随一の名門╿その起こりと家系図
  2. 中世最後の騎士 マクシミリアン1世╿世界帝国の盟主 カール5世
  3. 死亡診断書/二重帝国/帝国崩壊とその末裔

 

参考文献

  • 小笠原弘幸(2018)『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』(中公新書)
  • 小杉秦(2016)『興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード』(講談社学術文庫)
  • 長谷川哲也(2003)『ナポレオン-獅子の時代-』(少年画報社)