【ハプスブルク】② 中世最後の騎士 マクシミリアン1世╿世界帝国の盟主 カール5世

こんにちは、はてはてマンボウです。
前回の記事では、ハプスブルク家の興りを見てきました。

 


 

 


 

さてここからは、「中世最後の騎士」マクシミリアン1世が築いたハプスブルク帝国とその変遷を辿っていくよ。
梓

 

”A.E.I.O.U”、”中世最後の騎士”、”汝は結婚せよ”

地上の全てはオーストリアのもの

時代は下り、中世から近世に入ろうとするところ。

ここでは3つのフレーズを紹介しよう。

 

まずはマクシミリアン1世の父である、神聖ローマ皇帝・フリードリヒ3世がしばしば残した”A.E.I.O.U”という5つの文字

梓
何かの暗号マボか?
”Alles Erdreich ist Österreich untertan”の5つの頭文字だと言われている。

訳すると「地上の全てはオーストリアのもの」

 

強烈な支配意識の表れだ。

梓

 

「中世最後の騎士」

 

アルブレヒト・デューラー『皇帝マキシミリアン1世の肖像』

(美術史美術館、ウィーン)

 

1493年、フリードリヒ3世の息子であり、ハプスブルク家の黄金時代の礎を築いた上で「中世最後の騎士」とも謳われた皇帝・マクシミリアン1世が即位する。
梓

 

父の衣鉢を継ぎ、父以上に粘り強く戦い続けた。身は常に戦場にあった。

 

敵はフランス、

ローマ教皇、

イタリア諸都市、

最初の妻の遺領ネーデルラント諸都市、

息子の嫁の実家スペイン、

海を越えたイギリス、

異民族ハンガリー、

異教徒トルコ、

そしてなんといってもドイツ国内諸侯。

 

同盟、寝返り、離反。

昨日の敵は今日の友、

そして明日の敵。

 

目も眩むパズルさながらである。

一日とて休む暇もない。

 

むろん、金庫は空のまま。

豪商フッガー家への借金だけが増えていく。

 

しかしどことなくおおどかだ。

父のように貧乏ったらしくない。

僻みっぽくもない。

権謀術数を知りながら自ら裏切ることをしなかったからである。

 

人事を尽くし、すべてを神の思し召しに委ねるその潔さは誰にも真似できなかった。

「中世最後の騎士」と謳われるゆえんである。

 

菊池良生(2009)『ハプスブルク家の人々』(新人物文庫)

 

なかなかロマンあふれるお方マボねえ、はってはて♪
そのマクシミリアン1世は、子や孫の婚姻の結果、ハプスブルクの領土を急速に拡大することに成功する。
梓

 

「汝は結婚せよ」

 


ベルンハルト・ストリゲル『皇帝マクシミリアン1世と家族』

(美術史美術館、ウィーン)

 

なんだか、その……特徴的な……顎が、まぼまぼ
名門ゆえに結婚するための「格」を備えた家柄が限られたため、

近親相姦を繰り返した結果、

ハプスブルク家はその顎が異常に発達するようになった

なんてことも言われているね。

梓
なんと、そんな理由が!
この家族こそが、ハプスブルク家にチェコ、ハンガリー、そしてスペインの支配をもたらしてくれることになり、オーストリアには有名な格言が生まれることになる。
梓

 

いずれにしてもマクシミリアンは、軍隊の力ではなしえなかったことを、二人の孫によって実現したことになる。

なにしろカールはスペインの、

そしてフェルディナントはボヘミア、ハンガリーの王となったのだから。

 

こうしてあの人口に膾炙した俚諺(りげん)が生まれることになる。

 

「戦は他国にさせておけ。幸いなるオーストリアよ、汝は結婚せよ」

 

江村洋(1990)『ハプスブルク家』(講談社現代新書)

 

スペインの継承、そして世界帝国へ

ティツィアーノ『カール5世騎馬像』

(プラド美術館、マドリード)

 

さて、マクシミリアン1世の没後に即位したのがカール5世だ。

彼は中南米やアジア支配を進めるスペイン王でもあったことから、ハプスブルク家は「日の沈むことなき世界帝国」を実現することになる。

梓
かっちょいい名前まぼねえ。

でも、どういう意味マボか。

領土が地球のあちこちにあるから、どこかでは必ず太陽が昇っているでしょ」ってこと。

その領土の果て無さは、彼の名乗りによく表れている。

梓

 

しかし、カールは自らの帝国を独裁的かつ一元的に統治したのではない。

その名乗りが示すように、この帝国は実はきわめて複合的であった。

 

朕カール五世、

神の恩寵によるローマ人の皇帝、

いかなる時も帝国の拡大者、

ドイツ、カスティーリャ、アラゴン、レオン、両シチリア[シチリアとナポリ]、エルサレム、ハンガリー、ダルマチア、クロアチア、ナバーラ、グラナダ、トレド、バレンシア、ガリシア、マジョルカ、セビーリャ、サルディーニャ、コルドバ、コルシカ、ハエン、アルガルベ、アルヘシラス、ジブラルタル、カナリア諸島、カリブ海諸島、大西洋中の国々等々の王、

オーストリア大公にし て、ブルゴーニュ、ブラーバント、シュタイアーマルク、ケルンテン、クライン、リンブルク、ルクセンブルク、ゲルデルン、カラブリア、アテネ、ネオパトリアそしてヴュルテンベルク等々の公、

ハプスブルク、フランドル、ティロール、ゲルツ、バルセロナ、アルトワ、フランシュ゠コンテの伯、

エノー、ホラント、ゼーラント、フェレット、キーブルク、ナミュール、ルシヨン、サルダーニャ、ズトフェンの宮中伯、

アルザスの方伯、

ブルクアウ、オリスターノ、ブルグシオの辺境伯、

シュヴァーベン、神聖ローマ帝国のシュヴァーベンの侯、

カタルーニャ、アストゥリアス等々の侯、

フリースラント、ヴィンディッシュ・マルク、ポルデノーネ、ビスケー、モリナ、サラン、トリポリそしてメヘレン等々の領主

 

岩崎周一(2017)『ハプスブルク帝国』(講談社現代新書)

 

は、はて……これ、カンペ無しに毎回名乗ってたのかしら、まぼまぼ……。
さて、次回の記事では、世界帝国にも陰りが見えてくる。

 

ヨーロッパ随一の名門の晩年の行く末を辿っていこう。

梓

 

まとめ

  • 「中世最後の騎士」マクシミリアン1世に端を発する婚姻策が世界帝国の礎に
  • カール5世の時代には、スペイン王国を治めることで、「日の沈むことなき世界帝国」を実現!

 

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  3. 死亡診断書/二重帝国/帝国崩壊とその末裔

 


 

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  2. 帝国/王国/公国/の違い╿ローマ帝国/カエサルの関係

 

参考資料

  • 岩崎周一(2017)『ハプスブルク帝国』(講談社現代新書)
  • 江村洋(1990)『ハプスブルク家』(講談社現代新書)
  • 菊池良生(2003)『神聖ローマ帝国』(講談社現代新書)
  • 菊池良生(2009)『ハプスブルク家の人々』(新人物文庫)

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