【紋章/ヨーロッパ】英国王室、ユリ、十字紋、そして現代に生きる紋章たち

こんにちは、はてはてマンボウです。

 

イギリスの国章

 

フランス ブルボン王室の紋章

 

オーストリア帝国の国章

 

立派な紋章が並んでいるわねえ。
今回はヨーロッパの紋章について見ていくよ。
梓

 

紋章の成り立ち

そもそも、どうして紋章なんてものが生まれたマボか。
それは、ヨーロッパの騎士の文化に由来するんだ。
梓

 

西ヨーロッパでは、ノルマン人やマジャール人、イスラームなどの侵入を経験したので、外敵に対する防衛が重要視された。

そこで登場してきたのが騎士という武装集団である。

(中略)

さらに、騎士が防御のため戦場で顔までおおうヘルメットをかぶったりすることで視界が狭まったため、

敵味方を判別する必要性から、楯に目印の文様を描く習慣が広がった。

 

浜本隆志(2019)

『図説 ヨーロッパの紋章』

(河出書房新社)

 

その後、王侯貴族が自分たちの家の象徴として紋章を採用するようになると、

 

身分や領土などとともに紋章も継承されるようになっていったんだ。

梓

 

代表的な紋章

英国王室

英国王室の紋章はライオンと縁が深い。

 

元々はフランスで使われていたライオン紋章が、

婚姻を通じてイングランド王室に持ち込まれた。

 

その後、”獅子心王”と呼ばれたリチャード1世から、

数を3つに増やした「スリーライオンズ」を用いるようになったという。

梓

 

イングランド王室紋章(1198-1340)

 

時は流れ18世紀、

 

イングランドがブリテン島のウェールズやスコットランド、アイルランドを支配下に入れると、

 

現在の英国王室の紋章が誕生した。

梓

 

イギリスの国章

 

中央の王冠の下を辿ると……

 

左上と右下に、3つのライオンがいるまぼねえ。

 

十字紋

スイスの国旗

 

スカンディナヴィア・クロス/デンマークの国旗

 

十字架は言うまでもなくキリスト教のシンボルだ。
梓
こうやって見ると、いろんな国で使われているんですねえ。

 

セント・ジョージ・クロス/イングランドの国旗

 

イングランドの国旗は別名、

 

セント・ジョージ・クロス

 

ともいう。

これは、

 

竜退治の伝説を持つ聖ゲオルギウス

 

に由来するんだ。

梓

 


 

 

【神話と聖書の人物】赤い十字と竜退治の伝説・聖ゲオルギウス

「聖ゲオルギウス」に関する記事をチェックしたい人は、こちらを見てくれ~

 


 

ユリ

フランス ブルボン王室の紋章

 

青地に金色のユリ……

 

色使いがマンボウちゃんと似ていて、親近感が湧くわねえ。

 

でも、なぜこの組み合わせまぼか。

カトリック世界ではマリア信仰が根付いていた。

 

まず、聖母マリアと言えばユリの花

梓

 

ボッティチェリ『カステッロの受胎告知』

(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)

 

ユリの花は聖母マリアの純潔を象徴している。

 

「受胎告知」のシーンの絵画では、

 

神の子・イエスを宿したことを告げる天使・ガブリエルが、

 

必ずと言っていいほどユリの花を携えている

梓

 

 

たしかにマンボウ!

 

ムリージョ『無原罪の御宿り』

(プラド美術館、マドリード)

 

そして、マリアは青色の衣服とセットで描かれることも多い。

 

聖母マリアは、イエスから天空に招かれて戴冠を受けるというエピソードがあるから、

 

天空の青色のイメージがマリアとセットになったんだろう。

梓

 

双頭の鷲

 

 

『ローマ』の継承者としての紋章╿「双頭の鷲」ってなんですか?

「双頭の鷲」に関する記事をチェックしたい人は、こちらを見てくれ~

 

現代に生きる紋章:サッカーを例に

さて、さまざまな紋章の成り立ちを見てきたところで、

 

最後に現代にも息づいている紋章をサッカーを例にして見ていくよ。

梓

 

イングランド代表

サッカーイングランド代表 ロゴ

 

あ、3頭のライオン。

 

はて、どこかで見たような……。

ライオンは英国王室の紋章だったね。

 

サッカーイングランド代表もそのまま、「スリーライオンズ」の愛称で呼ばれている。

 

ちなみにユニフォームはセント・ジョージ・クロスに由来した白色を基調としているんだ。

梓

 

バイエルン・ミュンヘン

ヴィッテルスバッハ家の紋章

 

ヴィッテルスバッハ家?

 

はて、突然知らないおうちが出てきたまぼねえ。

ドイツはさまざまな貴族の治める国々が1つの王国になっていった歴史を持っている。

 

ヴィッテルスバッハ家は、ドイツのバイエルン州を中心に存在したバイエルン王国を治めていた名門の王家だったんだ。

梓

 

FCバイエルン・ミュンヘンのロゴ

 

バイエルン州の州都・ミュンヘンに本拠地を構えるドイツの競合、バイエルン・ミュンヘンもこれをロゴに採用している。
梓

 

ちなみに車メーカーのBMWのロゴも、ヴィッテルスバッハ家の紋章に由来しているよ。
梓

 

FCバルセロナ

スペイン・カタルーニャ州の紋章

 

ドイツ同様、スペインも多くの王国が1つになった歴史がある。

スペインのカタルーニャ州もその1つ。

梓

 

FCバルセロナのロゴ

 

州都・バルセロナに拠点を持つFCバルセロナも、例によってロゴの右上にカタルーニャ州の紋章を据えているね。
梓
はて、左上には見覚えのある十字架がありますよ。

 

これって、確かセント・ジョージ・クロスだったような……。

カタルーニャ州の守護聖人は

 

聖ジョルディ……

 

英語ではジョージ、

 

古代のギリシャ語ではゲオルギウスにあたる

 

つまり、FCバルセロナは州の守護聖人に由来して、

 

セント・ジョージ・クロスもロゴに採用している、

 

というわけだ。

梓

 

まとめ

  • ヨーロッパの紋章は、騎士の楯がやがて王侯貴族を表すものとなった。
  • キリスト教などの由来に応じたさまざまなモチーフが存在する。
  • サッカーチームのロゴなど、その一部は現代にも受け継がれている。

 

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双頭の鷲を紋章に掲げた数々の帝国……その「帝国」「皇帝」とはなんぞやは、こちらの記事でまとめてますマボ~

 

  1. 帝国の定義
  2. 帝国/王国/公国/の違い╿ローマ帝国/カエサルの関係

 

 

参考文献

  • 浜本隆志(2019)『図説 ヨーロッパの紋章』(河出書房新社)

図説 ヨーロッパの紋章 (ふくろうの本/世界の歴史) [ 浜本 隆志 ]