【武田信玄/新田次郎/火の巻】③ 嫡男の死……╿駿河/小田原攻め

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回は新田次郎の歴史小説『武田信玄』の後半戦です。

 


 

川中島の合戦と死|新田次郎『武田信玄』②『林の巻』

 

前回までの記事は、こちらをチェックしてくれ~。

 


 

今回は、第3巻『火の巻」について、主な章とその名言を見ていくよ。

 

「川中島の合戦」を経て信濃制覇を進める信玄だが、順風満帆なその人生へ暗い影が差すことになる。

梓

 

嫡男の謀反と死╿義信逆心

信玄の後継者・義信は、正室に今川義元の娘を迎えていた。

 

しかし、桶狭間の戦いで義元が討ち取られて以来、信玄は駿河への圧力を強めている。

 

親今川派にある義信と信玄の間には、軋轢が生じていた。

梓
親子の衝突……これって、若いときの信玄が、お父さんの信虎と対立したときに似ているんじゃ。
実際、そのときと同じ追放劇を、義信側は計画していた。

 

そして、「志摩の湯」で湯治をする信玄を追放しようと、自分の後見役であり武田家重臣の飯富兵部(おぶ ひょうぶ)へ相談する。

梓

 

「父は狂人に近い。とても常識あるお人とは思えぬ。

こうなれば、最後の手段を取るよりいたしかたないであろう」

 

「と申しますと」

 

「志摩の湯に兵を向けるのだ。

父上を生け捕って駿河に送るよりいたし方がない。

兵部、すぐその準備をするように、なるべくはやい方がいい。

父上が躑躅が崎(武田家の拠点)へ帰館されたら、かえって面倒なことになる」

 

「どうしても、それを拙者がやらねばなりませぬか」

 

飯富兵部は眼に涙をためて云った。

 

新田次郎(2005)

『武田信玄 火の巻』「義信逆心」

(文春文庫)

 

飯富兵部は反乱を起こすも失敗し、自刃。

「この謀反は義信と何ら関係ない」

 

と遺書を残すも、信玄は自分の息子の初段に迫られ、義信を幽閉する。

やがて、義信は幽閉先で命を落とし、反乱劇は終わった。

梓

 

信長上洛

内乱の起きる武田家の西、日の出の勢いで成長しているのが織田家だった。

織田家はもともと、尾張(愛知西部)の一地方で、尾張を治める斯波(しば)家の家臣だった。

 

それが7年のうちに、尾張全土に加え、美濃(岐阜)も征服した。

一方、信玄は信濃一国の平定に20年かけている。

梓

 

新田次郎(2005)

『武田信玄 火の巻』(文春文庫)

 

信玄も焦るまぼよねえ。
その後、信長は足利義昭を将軍に立てるため、京都へ上る。

覇を唱えるため天下に号令しようと京都へ上ることは信玄の夢だった。

 

その信玄を尻目に、信長はあっさりと京都へ向かってしまう。

梓

 

信玄は、もう我慢ができない気持だった。

信長が義昭を傀儡将軍として天下に号令を下すのは時間の問題であった。

 

「あの半国の大名が、氏素性もはっきりしないあの織田信長が」

 

信玄は口惜しかった。

源氏の直系としての武田家と、

斯波氏の被官人だったということしか分っていない織田家とは家柄から云っても比較にならなかった。

その信長の桶狭間以来の発展ぶりからおし測ると、全国統一も不可能ではないことのように思われた。

 

新田次郎(2005)

『武田信玄 火の巻』「信長上洛」

(文春文庫)

 

若かりし頃より病を患っていた信玄。

 

その病状はますます進行していた。

そんな自分を尻目に、若き信長は実力を伸ばしていく。

 

病を前に、信玄の焦燥は深まっていく。

梓

 

北条家との戦い╿三増峠の戦い

5回にわたる川中島の戦いを経て信濃を手中に収めた信玄は攻める先を転換し、三国同盟を破棄して駿河・今川領へと侵攻する。

これは、相模の北条家との関係の破綻も意味していた。

 

北条家上杉と越相同盟を締結、武田氏に対抗する。

梓
信長に加えて、ライバルが増えてきたマボねえ、はてはて。
信玄は北条家へ戦を仕掛け、小田原城を囲んだ。

しかし小田原城は、かつて上杉謙信が10万以上の兵力で落とせなかった堅城。

 

北条氏が小田原城を出ることはなく、信玄もまた撤退を余儀なくされた。

甲斐に帰国しようとする武田軍は、三増峠(みませとうげ)で北条軍の待ち伏せに遭う。

 

そこへ、小田原の北条本体が武田軍を挟み撃ちにするという作戦だった。

梓

 

新田次郎(2005)

『武田信玄 火の巻』(文春文庫)

 

信玄危うしマボよ~はて~!
ところが、武田にも山県昌景の率いる別働隊あり。

 

鉄砲の号砲が鳴り響き、武田の将兵たちは歓声を上げる。

 

緒戦では苦戦したが、終わってみれば武田軍の勝利だった。

こうして、北条家との戦いも有利に進める信玄は、

 

いよいよ自らも京へ上る「西上作戦」への思いを強め、

 

そして物語は最終巻の『山の巻』へと向かうことになる。

梓

 

まとめ

  • 嫡男・義信の逆心を信玄は退ける
  • 信長が京都へ上るのを見て、信玄は焦りを募らせる
  • 三国同盟を破棄し、信玄は北条家との戦いの末、西上作戦を見据える

 

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