武士の呼び名と武家官位╿マンガ『センゴク』で見る戦国武将の呼び名①

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回は、戦国武将の……呼び名? はて。

仙石権兵衛秀久(『センゴク天正記』1巻より

明智日向守光秀(『センゴク一統記』1巻より

そういえば、戦国武将ってなんか名前が長いの、前から不思議に思っていたのよねえ、はて。
さて今回は、仙石秀久を主人公に戦国時代を追っていくマンガ『センゴク』シリーズを見ながら、戦国武将の呼び名を追ってみよう。
梓

諱(いみな)と通称

かつて、日本には人の名前を呼ぶのを避ける「諱」という概念があった。
梓
む、難しい漢字ねえ。
「いみな」は「忌み名」。すなわち、敬遠する名前、ということ。
人物の本名を呼ぶとその人物を呪ったり支配したりできると考えられたために、親や主君以外の人間が本名で呼ぶのは無礼だとされた、とも言われている。
梓

木下藤吉郎秀吉(『センゴク』1巻より

そこで、諱を避けて使われたのが「通称」。仮の名前ということで「仮名(けみょう)」ともいう。
例えば木下秀吉(のちの豊臣秀吉)は、基本的には実名の「秀吉」では呼ばれず周りの人間からは「藤吉郎」という通称で呼ばれていた、というわけだ。
梓
ドラマだと「秀吉さま」とよく呼ばれていますもんね~、知りませんでした、はてはて。
マンガの主人公である仙石秀久も、仮名である「権兵衛」で呼ばれていて「秀久」と呼ばれることは作中ではまずないんだ。
梓

武家官位

織田上総介信長(『センゴク』1巻より

今度は織田信長まぼねえ。
通称は「上総介」のところねえ、きっと。なんて読むかはわかりませんが。
「かずさのすけ」だね。
これにもちゃんと意味があるんだけど、わかるかな。
梓
は、はて。意味ですって。
上総はいまの千葉県。
「上総介」は上総の国の役人、という意味だ。

本名を直接呼ぶ代わりに便利だったのが「武家官位」と呼ばれる役職だったんだ

梓

官途(かんと)と受領(ずりょう)

「官途(かんと)」は、いまでいうところの政府の役人の名前だね。
梓
では、「受領」は何マボか。
奈良・平安時代、日本各地は国司(こくし)という役人が治めていた。そして現地の最高責任者を「受領(ずりょう)」と呼んだんだ。

最上位の長官を「守(かみ)」、補佐の次官を「介(すけ)」と読んだ。

梓

受領名は、国名を冠し、「〇〇守」「〇〇介」といい、官途は、中央管制の官職名で、修理大夫(しゅりのだいぶ)とか治部大輔(じぶのたゆう)、掃部頭(かもんのかみ)などをいう。あわせて官途受領名といっている。

『歴史読本』編集部 編(2014)『増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』(KADOKAWA/中経出版)

現代風に言えば、官途は財務省などの政府の官庁の役人、受領は都道府県知事みたいなものだ。

これらの官途や受領といった役人を、当時は朝廷が任命していた、というわけだね。

梓

織田弾正忠信長(『センゴク一統記』1巻より

ちなみに位が上がると名乗りも変わることがある。
最初は「上総介」を名乗っていた信長も、やがて「弾正忠」を称するようになる。
梓

非公式な官名

内藤修理亮昌豊(『センゴク天正記』3巻より

柴田修理亮勝家(『センゴク天正記』8巻より

修理亮(しゅりのすけ)というのも、官途名だね。
元々は天皇の御所を修理する役職にあたっていた。「すけ」は次官、ということだね。
梓
はて、ちょっと待ってください。
どうして、別の人が同じ「修理亮」を名乗っているんですか
それは、各大名が好き勝手に官途受領名を家臣へ与えていたからだ。
梓
なんと!

では、武士たちの官途受領名は、すべてこのように朝廷からの許可を受けたものだったのだろうか。実は、そうではなかったのである。

もちろん、大名クラスは朝廷からの任官を受けているが、それ以下の武士となると違っていた。……大名たちの家臣は、大名から官途受領名を与えられていた。

『歴史読本』編集部 編(2014)『増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』(KADOKAWA/中経出版)

唐名

島津中務大輔家久(『センゴク権兵衛』1巻より

中務……大夫……
中務(なかつかさ)は、天皇の補佐や朝廷の職務全般の担当。
大輔(たいふ、だゆう)は、次官である「すけ」の中の序列の1つ。

「中務大輔」で、中務省の次官の1人、ぐらいの意味かな。

梓
それじゃあこの人も、「中務さま」と通称で呼ばれるまぼねえ。

『センゴク権兵衛』9巻より

はて、中書、様?
これは「唐名(とうめい」という。
日本の律令制は中国の制度を下敷きにしている。だから官職名も、中国に対応するものがあるんだ。そこで、中国風に呼んだものを唐名といった。
「中務省」は中国では「中書省」だったんだ。
梓

まとめ

  • かつて本名は「諱」といわれ、直接呼ばれることはめったになかった。
  • 武家官位の官途受領名は通称として利用された。
  • 日本の役職が中国風の「唐名」で呼ばれることも。

参考文献

  • 『歴史読本』編集部 編(2014)『増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』(KADOKAWA/中経出版)
  • 宮下英樹『センゴク』(講談社)
  • 宮下英樹『センゴク天正記』(講談社)
  • 宮下英樹『センゴク一統記』(講談社)
  • 宮下英樹『センゴク権兵衛』(講談社)

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