荒木飛呂彦と『スティール・ボール・ラン」で考える「納得」の世界╿レプリカと審美眼の世界②

こんにちは、はてはてマンボウです。
今回のシリーズ記事では「『感動』は、レプリカ、贋作や他人の解説で左右されるのか?」を見ています。ときどき現れる難しいテーマの記事マボ……。


我々がある作品を見て感動したとしても「それってレプリカですよ」と一言言われるだけで、「我々は本当に感動すべきなのだろうか?」という袋小路にさまよい出てしまう。「レプリカですよ」という言葉が本当かどうかに関わらず。

この問題の答えには「納得」「審美眼」というキーワードが大きく関係しているんじゃないかと私は思っているんだ。というわけで、今回は漫画家・荒木飛呂彦先生から答えを探っていくよ。

梓

「納得」は全てに優先するぜッ!!

荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』8巻より

主人公の1人・ジャイロは、法治国家ネアポリス王国の死刑執行人でもある。無実だが法で死罪判決が下った「靴磨きの少年マルコ」の処刑に納得がいかないジャイロは、全米横断レース「スティール・ボール・ラン」で優勝することで「国王の恩赦」を勝ち取り、無実のマルコを救おうとしている。

ジャイロはレース中、相棒・ジョニィと不思議な「遺体」を見つけ、その後を追いながらレースを続けていた。

梓

オレは「納得」したいだけだ

マルコが本当に処刑されなくてはならないのか!?

ジョニィが見つけたがっている「遺体」とは何者なのか?

「納得」は全てに優先するぜッ!!

でないとオレは「前」へ進めねえッ!「どこへ」も!「未来」への道も!探すことは出来ねえッ!!

激しい言葉マボねえ。
このシーンでジャイロが叫んでいる相手は、父・グレゴリオの幻影だ。
成熟した大人であるグレゴリオは訳知り顔でジャイロを諭している。
梓

罪人が「少年」だろうと「無罪」だろうとそれにも「感傷」をまじえてはならないッ!

すぐにこのレース自体も撤退するのだッ!!

無実の罪を着せられていようと、少年マルコの死刑を執行するのに意義を挟むなと、父・グレゴリオは言う。
自分の頭で考える必要はないと諭す父へ「納得がしたい」反発するジャイロ。
梓
自分の頭で考え、そして納得したいことへの熱い思いが描かれているマボね。
この、自分の頭で考え「納得する」というところに、他人の解説で自分の感動を「流されない」ための手がかりがありそうだ。
梓

「審美眼」で人は行動すべき

さて、『スティール・ボール・ラン』の作者・荒木飛呂彦は、学生が作成するフリーペーパー「NEWTRAL」のインタビューを受けた際、「社会に出る人達へメッセージ」という項目でこんなことを語っている。
梓

僕は「審美眼」で人は行動すべきだと思っているんですね。
「美しさをどう判断するか?」っていうか。
自分が行っている行動は美しいのか、そうでないのか。
「美しい」っていうのは、単に外見とかの問題じゃなくて、しっくり馴染んで
いるかどうか、納得できるものかどうかということなんだと思うんですよ。
勉強って、その「審美眼」を培うためのものだと思うんです。

NEWTRAL 荒木飛呂彦インタビュー「荒木飛呂彦の過去現在未来」

審美眼、マボかあ。
自分が納得できるのは何か。
自分が納得できる行動は何か。
それが大事だと荒木飛呂彦は語っている。
梓
で、結局勉強が大事、と。
でも、いくら勉強しても結局、贋作に騙されるかもしれないマボよ。
騙されていてもいいじゃないか。
梓
はて。
大事なのは自分が感じた美しさに納得できているかどうか。
そりゃあ人間、何かに騙されたり間違った方向に導かれて失敗したりすることもある。
そのときに「ああ! 騙された」と思うのが嫌なら、騙されないように勉強すればいいだけのことだ。
梓
まぼお。
重要なことは、「自分は何がしたいのか」「自分はどう思うのか」を常に思っているかどうか。
「上から命令されたから」「誰かがこう言ったから」……そんな言い訳をしながら誰かに操られているよりも、自分が美しいと信じたものに従って生きている方がずっといいと思うんだ。
梓

ハン・ファン・メーヘレン『エマオの食事』

(ボイマンス美術館、ロッテルダム)

さて、そんな意見を投げかけたところで、もう一度この『エマオの食事』を眺めてみてほしい。
あなたには、どんな絵画に見えるだろうか。いまのあなたはいったい、何を感じるだろうか。
梓

まとめ

  • 「納得」は全てに優先するぜッ!!
  • 「僕は『審美眼』で人は行動すべきだと思っているんですね……勉強って、その「審美眼」を培うためのものだと思うんです」

参考文献

  • 荒木飛呂彦(2006)『スティール・ボール・ラン』8巻(ジャンプコミックス)
  • NEWTRAL 荒木飛呂彦インタビュー「荒木飛呂彦の過去現在未来」

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