今回のシリーズ記事では「どうやって英語を勉強するのか」を考えております。
前回までの記事は、こちらをチェックしてくれ~。
しかし、今回のシリーズで一番語りたいのは「英語学習法」ではなく、
「勉強の本質とは何か」だったんだ。
「楽して」ではなく合理的に
寝ながらでも英語を覚えられる方法はないマボかねえ、すやあ。
○合理的な学習法というのは、「簡単に」とか「片手間に」とかいうことではない。
ただし、つらい苦行を覚悟せよと言いたいわけでもない。
「楽に習得」と「楽しんで習得」は別だ。
どの分野でも一流になった人は楽にそうなったわけではなく、
苦闘しつつも楽しみながら努力を重ねた結果そうなったはずである。
○……しかし難しいことを難しいと言わず、「簡単にマスターできる」と言うのは、ウソであるばかりか、学習に甚大な悪影響を及ぼす。
テーマが根本からズレているのに、ズレていることに気がつかずに、無理やり学習しようとしてもうまく学べるわけがないからである。
日本語スキーマを当てはめていることに気づかずに英語のアウトプットを続けていては、いつまでたっても上達は望めない。
○……あることが身体化されるところまで行くには長い間の訓練が必要である。
「聴き流すだけで英語が自然と口から出る」という英語教材の広告をよく見るが、
人間の認知のしくみにまったく反していることなので、とても不思議である。
口に出てくるのはGood morning.やNice to meet you.という挨拶の最初のひとことくらいではないだろうか?
日本人が英語を話せない理由
「ニック式英会話」
というyoutube動画で指摘されている。
……日本人が英語を何年勉強しても話せるようにならない理由として、「日本人は英語を自分のものだと思ってないから」とか「マスコミがいけない」とか、いろんな抽象的でためにならない理由をあげている人が多いのですが、本当の理由はもっともっとシンプルです。(中略)もし、ピアノの練習として、楽譜を見ているだけとか音楽理論を学んだりするだけでは、ピアノが弾けるようにはならないですよね?楽器にしても、スポーツにしても、そして言語にしても同じ原理なのです。ニック式英会話
「日本人が英語を話せない3つの理由」より
勉強の価値
著書『勉強の価値』で、
「勉強なんてものは本来楽しくないものだ」ということを繰り返し説いている。
森博嗣(2020)
『勉強の価値』
(幻冬舎新書)
○たとえば、金槌で釘を打つこと、これが「勉強」というものの本質である。
もし、金槌で釘を打つことが楽しいという人がいれば、それはそれで幸せである。
一生その趣味を続けて、釘を打ち続ければよろしい。
しかし、普通は、釘を打つ目的がほかにある。
その目的が、釘を打つ行為を始まるよりもさきにある場合は、釘を打つことが楽しく感じられるだろう。
○「釘の打ち方は、将来社会に出て、必ず役に立つ」と口を酸っぱくして教える手はある。
また、「釘を上手く打てれば、みんなが注目する」などと言って教えるのも、まあ、それなりに効果を挙げるだろう。
だが、はっきりいって、釘を打つことの本質を見失っているし、
半分くらい子どもを騙しているといえるのではないか。
「音楽に合わせて金槌を振り、楽しく釘を打ちましょう」と指導するのが、
「楽しく勉強しましょう」という「不思議な」現代の教育法と言える。
○……自分が作りたいものがまずあって、
そのためには、どうしても釘を打たなければならないことが判明する。
だから、釘の打ち方を勉強したい。
そうなって初めて、その勉強に意味が浮上し、価値が生じるのである。
英語学習を始める第一歩は、
自分が必要な英語はどのようなレベルなのか
ーつまり英語学習で達成したい目標ー
を考え、自分はその目標のためにどこまで時間と労力を使う覚悟があるかを考えることだろう。
今井むつみ(2020)
『英語独習法』
(岩波新書)
学問には王道しか無い
森博嗣(2013)
『喜嶋先生の静かな世界』
(講談社文庫)
「……学問に王道なしの王道は、ロイヤルロードの意味だ。
そうじゃない。
えっと、覇道と言うべきかな。
僕は、王道という言葉が好きだから、悪い意味には絶対に使わない。
いいか、覚えておくといい。学問には王道しか無い。」
まとめ
- 合理的な手段はあったとしても、そもそも勉強というのは楽なものではない
- 「楽して」ではなく、「何をしたいのか」をまずは考えること
- 学問には王道しか無い
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参考資料
- 今井むつみ(2020)『英語独習法』(岩波新書)
- 森博嗣(2013)『喜嶋先生の静かな世界』(講談社文庫)
- 森博嗣(2020)『勉強の価値』(幻冬舎新書)