『パンの歴史』と『世界のサンドイッチ図鑑』╿世界中のパンを楽しもう!

こんにちは、はてはてマンボウです。
今回は……

 

 

今回は、2冊の本を通して、パンの歴史と世界のパンを見ていくよ。
梓

 

はて!

『パンの歴史』に『世界のサンドイッチ図鑑』とな!

こりゃあ、おいしそうな生地……じゃなかった、記事になりそうねえ。

パンの歴史

都市の出現とパン

というわけで、まずはパンの歴史からマボか。

パンって、いつ頃から食べられ始めたんですかねえ。

紀元前3200年頃、だそうだよ。

人類が定住を始めたのち、農業が安定して食べものを安定供給できるようになると、都市が生まれる。

収穫した穀物からパンが生まれ、都市の人たちを養ったんだ。

紀元前2000年頃に書かれたとされる、あの世界最古の冒険譚『ギルガメシュ叙事詩』にも、パンは出てくるんだよ。

梓

ギルガメシュは語るために口を開き

大女神イシュタルにむかって言った

「あなたをもらうのに〔私は何を差上げたらよいのですか〕

体の〔油と〕衣服を〔差上げたらよいのですか〕

パンや料理を〔差上げたらよいのですか〕

神にふさわしい食物を〔

王にふさわしい飲〔物を

 

矢島文夫(1998)

『ギルガメシュ叙事詩』(ちくま学芸文庫)

 

そんな昔からパンが作られてたとは。

人類ってすごいんですねえ。

 

階級のしるしとしてのパン

時計の針を随分と回して17世紀。

 

近代ヨーロッパでは、白いパンを食べられることが裕福であることの証だったそうだ。

梓

 

リュバン・ボージャン「チェス盤のある静物」、

ルーヴル美術館、パリ

16世紀から18世紀のヨーロッパ絵画に描かれたパンを見ると、富裕層は白いパン、貧困層は褐色のパンだったことがよくわかる。

 

もし今の絵画が、イギリスやアメリカの家庭の社会的地位を示すシンボルにパンを用いるとしたら、

豊かな家庭の食卓には、外はパリパリ、中身はしっとりのパン・ド・カンパーニュやチャバッタを、

貧しい家庭の食卓には、あらかじめスライスされた工場生産のパンを描くだろう。

 

富裕層と貧困層のパンのちがいを古今共通のひと言であらわせば、貧困層の食べるパンはいつも安い、ということだ。

現在、それは大量生産の白パンを意味する。

しかし、現代社会のパン文化を遠くから眺め、個々の小麦パンのちがいをわからなくしてしまったら、この世という地上の王国に住む人々の共通の夢が、王者のパンを食べることにあったのが納得できるのではなかろうか。

 

ウィリアム・ルーベル、堤理華訳(2013)

『パンの歴史』(原書房)

昔は、白くてふわふわのパンが裕福さの証だったマボかあ。

そう聞くと、絵を見る目も変わってくるわねえ。

 

世界のサンドイッチ図鑑

 

さて、ここからは『世界のサンドイッチ図鑑』の中から一部を抜粋して、世界中のサンドイッチを見ていこう。

土日の朝方や、ちょっと小腹が空いた深夜など、さまざまな場面で幸福な気分にさせてくれる一冊だよ。

梓

本書で紹介するサンドイッチの定義

 

アメリカでもっとも知られる辞書のひとつ『メリアム・ウェブスター』によると、サンドイッチの定義は以下のようになる。

 

「間に何か(肉、ピーナッツバターなど)がはさまっている2枚のパン。

何かがはさまった2枚以上のクッキー、クラッカー、ケーキのスライス」

 

サンドイッチらしきものが歴史上に登場するのは1世紀のことだ。

ユダヤ教の指導者だったヒレルが、過越(ユダヤ教の祭り)のときに生贄の羊(ラム)と苦いハーブを、2枚のマッツァー(発酵していない平たいパン)にはさんで食べたと言われている。

 

ただ、一般にサンドイッチという言葉が普及し始めるのは、18世紀に入ってからで、場所はイギリスである。いわゆる、ティー・サンドイッチに代表される、2枚のパンに具をはさんだ、お馴染みのサンドイッチのことだ。

 

しかし、このイギリスのサンドイッチや、辞書のサンドイッチがサンドイッチの定義だとすると、

ヨーロッパのオープン・サンドイッチも、

メキシコのタコスも、

中近東のピタポケットも

サンドイッチではないということになる。

でも、実際は多くの人が、これらをサンドイッチと認識している。

 

私のサンドイッチの定義に関する考えはこうだ。

「パン、あるいはパンに相当するもの

(パン生地、パイ、パイ生地、ラテンアメリカのプランテインなど何でもかまわない)

で具を挟んでいるもの」

 

もうひとつは

「オープン・サンドイッチ、パンの上に何かがのっている、あるいは何かがかかっているもの」

 

この本に出てくるサンドイッチは、この定義に沿って選んでいる。

だから「これがサンドイッチ?」と言いたくなるものもいくつかあるかもしれないが、私のこの定義では立派なサンドイッチなのである。

 

いろんなサンドイッチが出てきそうな予感がする文章マボねえ。

さっそく見ていきましょう!

 

ソルト・ビーフ・ベーグル(イングランド)

イギリスとユダヤの文化が融合したロンドン・イーストエンドの名作

ロンドンのイーストエンドにはユダヤ人が多い。ベーグルはユダヤを代表するパンである。ロンドンに移り住んだユダヤ人がこのふたつを組み合わせて作ったのが、ソルト・ビーフ・ベーグルなのだ。

 

クリスプ・サンドイッチ(アイルランド)

首を傾げたくなるような組み合わせだが、これが意外といける

早い話が、ポテトチップスが2枚のパンにはさまった信じがたいサンドイッチなのである。

 

ブッターブロート(ドイツ)

パンにバターを分厚く塗る。これがドイツ版サンドイッチの原型

ドイツでサンドイッチというとこのブッターブロートを指すらしい。

ブッターはバター、ブロートはパン、つまりバターを塗りたくったパンという意味である。

 

ボスナ(オーストリア)

オーストリアでもっとも人気あるストリートフードのひとつが、これだ。オーストリア版ホットドッグだが、サイズは倍近い。(中略)変わっているのはカレーパウダーをかけるところだ。

 

ブローチェ・クロケット(オランダ)

オランダに関していえば、2008年の調査によると3億5千万個ものコロッケが年間に消費されている。

(中略)

このサンドイッチは国内大手バーガーチェーン店でも売っている。

 

バルケッテ・ディ・パネ・リピエーネ

池に浮かぶ小さなボートのようなおしゃれなサンドイッチ

いろいろな穀物をちりばめた小さなパンをくりぬいて、そのポケットにソテーしたナスやズッキーニ、チーズなどでフィリングを詰め込んで、180度に熱したオーブンで25分ほど焼く。

チーズがとろけ、卵が固まって、おいしいサンドイッチが出来上がる。

 

レフセ(ノルウェー)

ノルウェーの食文化でもっとも大切な食べ物のひとつ

レフセにも多くのノルウェー料理と同様、ジャガイモが使われている。

前日の食べ残しの茹でジャガイモを使って作ったのが始まりだ。

(中略)パンというよりもパンケーキやクレープのような使い方をするのが合っている。野菜などをくるんで食べてもおいしい。

 

スマジェニィ・シール(チェコ)

見た目は某バーガーチェーン店の魚のフライバーガーのようだが、中身はなんとかたまりのチーズである。

チェコで人気のストリートフードだ。

 

アタイエフ・ビル・アシュタ(レバノン)

レバノンを代表するパンケーキを使ったデザート

柔らかいスポンジケーキのようなパンケーキで、レバニアン・スタイルのアシュタと呼ばれるカスタードをクリームをくるみ、甘いシロップをかける、あるいはつけて食べる。

ピスタチオの香ばしさと歯ごたえがほどよいアクセントになっている。

 

ロブスター・ロール(アメリカ合衆国)

ボストンに来て、このサンドイッチを食べないわけにはいかない。

ロブスターの身だけを使うか、

セロリを加えるべきか、

ホットがいいかコールドがいいか。

議論が絶えないサンドイッチでもある。

 

 

ブレックファスト・ビスケット・サンドイッチ(アメリカ合衆国)

柔らかいビスケットは、イギリスのスコーンに匹敵するおいしさ

アメリカのビスケットは柔らかくて、普通は甘くない。とくにアメリカ南部で親しまれている。

(中略)スコーンと同じように、温かいうちにバターをつけて食べる。ハムやソーセージをはさんで、サンドイッチを作ってもおいしい。

さらに目玉焼きがのっていればいうことなし。豪華な朝食になる。

 

バーニ・チャウ(南アフリカ)

パンの中身を取り出してそこにカレーを流し込む

バーニ・チャウの発症をめぐってはさまざまな説が飛び交っている。どれももっともらしいが、真実はわかっていない。

だが、ダブリンで暮らすインドからの移民が作り出したというのは正しいようだ。

はじめは乾燥したシュガービーンズを使った肉なしのカレーだったらしいが、今ではマトン、ラム、鶏肉などが入る。

 

棺材板「グァン・ツァイ・バン」(台湾)

パンでできた棺にシチューを入れて食べる

揚げた食パンをくり抜いて、そこにシチューを入れる。リゾットを入れることもあるらしい。

 

カツサンド(日本)

世界に名をはせる、日本食文化を象徴するサンドイッチ

カツサンドのカツは厚さが均一で、パンを端から端までカバーしていなければいけない

三角に切った切り口だけが厚く、2枚のパンをはがすとカツがパンの半分くらいしかないものは失格である。

キャベツは入っていてもいいが、多すぎてはいけない

肉は豚ヒレ、衣は日本のパン粉以外考えられない。仕上がりの軽さ、サックリ感が理由で、外国でも日本のパン粉を使うようになってきた。

ソースはつけすぎず、甘からず辛からずの微妙ところをキープしていなければいけない

人によって好みは違うが、大体の人がこの定義に賛同するのではないだろうか。

カツサンドは日本が誇るワールドクラスのサンドイッチである。

 

たくさんのサンドイッチが並んでいるのを見るているだけで、お腹が空いてきちゃいました!

読んでるだけで楽しくなるわねえ、はってはて♪

『世界のサンドイッチ図鑑』に紹介されているサンドイッチはなんと355種類。

興味のある人は本書を読んでみると、ほかにもさまざまな国のサンドイッチが楽しめるので、ぜひどうぞ!

どのサンドイッチにも併せてレシピが載っているので、自分で作ってみるのもいいかもしれないね。

梓

 

「食」の図書館シリーズ

「食」の図書館シリーズの記事はこちらをチェックまぼ!

 

参考資料

  • ウィリアム・ルーベル、堤理華訳(2013)『パンの歴史』(原書房)

  • 佐藤政人(2017)『世界のサンドイッチ図鑑: 意外な組み合わせが楽しいご当地レシピ355』(誠文堂新光社)
  • 矢島文夫(1998)『ギルガメシュ叙事詩』(ちくま学芸文庫)

 

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