「起伏式」と「平板式」のせめぎ合い╿千変万化の日本語アクセントの世界

こんにちは、はてはてマンボウです。
こんにちは、マ\ンボー ちゃん。
梓
はて。なんだかしゃべり方がおかしくなっているような。
これは、アクセント記号を表しているんだ。
梓
アクセント記号? なんだか英語の授業みたいマボねえ。
というわけで、今回は日本語のアクセントについて見ていこう。
梓

アクセントに迷うとき

どっちのアクセント!?

マンボウちゃんは、日常生活でアクセントが気になったことはないかな。
梓
そんな細かいことを気にしていたら、のんびり回遊することはできないマボよお、ちっちっち。
むむむ、これは大物……。
では、この単語のアクセントはどうかな。
梓

ライブ

はて、ライブ。
では、「ライブ」はつぎのどちらの単語とアクセントが一緒だと感じられるかな。
梓

財布

ナイフ

はて!「ナイフ」と一緒マボかねえ。でも、若者は「財布」のアクセントのような……。

アクセントの道しるべ『NHK日本語発音アクセント新辞典』

そんなとき、読みたくなるのが『NHK日本語発音アクセント新辞典』だ。
梓

NHK日本語発音アクセント新辞典 [ 日本放送協会放送文化研究所 ]

これで「ライブ」を引くと……「ナイフ」と同じアクセントだと書かれている。
梓
「財布」と同じアクセントは間違いマボか……かわいそうな若者たちマボねえ……
いやいや、「間違い」と呼ぶのは早計だよ。
梓

このアクセント辞典では、「ここに示したアクセントであれば、ある程度あらたまった場面で使っても、多くの人に受け入れられる」というものを示すようにしています。

つまり、ここに載せていないアクセントを「日本語として間違っている」とか「おかしい」などと否定しているものではないことを、まずはご理解ください。

NHK放送文化研究所編(2016)『NHK日本語発音アクセント新辞典』(NHK出版)より

「間違いを正す!」というものではないマボねえ。
さて、この辞典を参照しながら、日本語の揺らぎのおもしろさを見ていこう。
梓

起伏式と平板式

日本語には大きく分けて、アクセントのある「起伏式」とアクセントのない「平板式」がある。
『NHK日本語発音アクセント新辞典』では、アクセントの位置を\で表しているよ。
梓

〔起伏式〕

  • パンダ パ\ンダ (起伏式① 頭高型)
  • におい【匂い】【臭い】 ニオ\イ (起伏式② 中高型)
  • ゆき【雪】ユキ\ (起伏式③ 尾高型)

〔平板式〕

  • さくら【桜】サクラ ̄ (平板式)
どこかでぴょこんとアクセントがつくのが起伏式、アクセントがないままなのが平板式、というわけマボねえ。
たしかに、「桜」はアクセントがないような。

複数のアクセント

アニメ

さて、「アニメ」のアクセントは、
「ア\ニメ」の起伏式だろうか
「アニメ ̄」の平板式だろうか
梓
アニメ……平板式マボかねえ。「みため」「まじめ」「アニメ」……
ああ、でも起伏式かも……うーん、わからないマボよ!
『NHK日本語発音アクセント新辞典』では、実はどちらも採用している。よく使われる方を「第1アクセント」、それ以外にも使われるアクセントを「第2アクセント」としてね。

ちなみに「アニメ」は「ア\ニメ」の起伏式が第1アクセント

梓
ふう……悩む必要はなかったマボか……。

気になるアクセントの例

さてここからは、私が個人的に気になった単語を勝手に紹介していきます。
梓

2月、4月、5月、9月

一文字+「月」のシリーズだ。さて、アクセントに違いはあるだろうか。
梓
ち、違い? はて……どれも同じじゃないマボか?
『NHK日本語発音アクセント新辞典』では……
梓
  • 2月:ニガツ ̄(平板式)
  • 4月:シガツ ̄(平板式)
  • 5月;ゴ\ガツ(起伏式)
  • 9月:ク\ガツ(起伏式)
法則が謎マボ……

電車、車掌

電車

車掌

はて、「デンシャ ̄」「シャショー ̄」で、どちらも平板式のような気が……

でんしゃ【電車】

  • 第1アクセント:デンシャ ̄(平板式)
  • 第2アクセント:デ\ンシャ(起伏式)
なんと! 起伏式のアクセントも。
戦車、賢者、電車……はて、「デ\ンシャ」なんて言うマボかねえ。
駅や車内の放送を聞いていると、「デ\ンシャ」のアクセントを耳にすることが多いんだ。
車掌も「シャ\ショー」のアクセントの放送の方が多い。
梓
なんと!
ただし「シャ\ショー」は辞典に載っていないから、業界内での独特のアクセントなのかもしれないね。
梓

アクセントの平板化

さて、ここで最初の話に戻ってみよう。

マンボウちゃん、この単語のアクセントはなんだったかな。

梓

ライブ

はて、ライブ。たしか、ナイフと同じだったような。

ナイフ

そのとおり。『NHK日本語発音アクセント新辞典』では
「ラ\イブ」
と起伏式で表現されている。

でも、マンボウちゃんは何と迷っていたかな?

梓
「財布」です。若者なら「ライフ ̄」と、「財布」と同じ平板式のアクセントじゃないかと……。

財布

たしかに、ライブに行っているような若者は「ライブ」を平板式で言っているのを耳にするよね。同じように「代理店」「業者」「サイズ」「メニュー」「データ」など、平板化が進んでいる単語は多い。
このような現象を、「アクセントの平板化」と呼ぶ。
梓

東京の言葉を中心に,アクセントの平板化は大きな流れとなって進行しています。それでは,このような変化はなぜ起こるのでしょうか。難しい問題ですが,まず考えられるのは,記憶の負担や発音の労力を軽減して,「コスト削減」あるいは「省エネ」で行こうということです。

……起伏式アクセントは、平板式に比べて確かに際立って聞こえます。それを平板化して滑らかに発音すれば、どこか特別扱いを解除したような気分になるのでしょう。ある種の単語を発音の面でも自明のようにさらりと扱うことが,自分が専門家であるとアピールすることにつながる、そんな意識が働いているのかもしれません。

国立国語研究所「解説:アクセントの平板化」より

起伏式アクセントで慣れている単語を平板式で発音する人がいたとき、「なんか気取ってるような……」と感じるとしたら、この辺に理由があるのかもしれないね。
梓

まとめ

  • 日本語は大きく分けて「起伏式アクセント」と「平板式アクセント」に分かれる
  • 単語によってはアクセントの揺らぎも見られる
  • 「アクセントの平板化」が進んでいる!

参考文献

  • NHK放送文化研究所編(2016)『NHK日本語発音アクセント新辞典』(NHK出版)より

NHK日本語発音アクセント新辞典 [ 日本放送協会放送文化研究所 ]

 

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