こんにちは、はてはてマンボウです。今回は山深い奈良県の奥地を回遊しています。
今回は、伽藍配置に美しい五重塔、そして藍麗しい菩薩像の待つ室生寺を紹介するよ。
室生寺までのアクセス
列車とバスを乗り継いでの旅
奈良駅から列車で行く場合は、まずJRの桜井線で桜井駅まで向かおう。
室生口大野で降りたところで、およそ1時間。ここから、バスに乗ればざっと15分で到着だ。
ところが、バスは1時間に1本なので、電車とタイミングが合わないことも大いにある。
駅前にはタクシーも並んでいるから、これを利用するのも手だよ。
むうん、しょうがないわねえ。節約マンボウちゃんも、ここはタクシーを使っちゃおうかしら。
道中に出会える磨崖仏
だけど、タクシーの旅もなかなか捨てたものじゃないよ。ほら、ちょっと車を停めてもらって、宇陀川の向こう側を見てごらん。
宇陀川をはさんだ対岸に見えるのは、鎌倉時代にできた弥勒菩薩の磨崖仏だ。
磨崖仏といえば、大分県の国東半島でもたくさんの石仏がありましたねえ。
やっと辿り着きました♪ さあ、たっぷり回遊するわよ~おらおら~
室生寺ってどんなお寺?
真言宗の「女人高野」
室生寺は真言宗室生寺はの大本山だ。ご本尊は釈迦如来。
ちょこちょこ書いてある、「女人高野」というのは、なんですか。
かつて、弘法大師・空海が「金剛峯寺」を建立した高野山は女人禁制だった。
一方で、室生寺は女性の参詣も許されていたことから「女人高野」と呼ばれたんだ。
高野山が女人禁制だったため、女性もお参りできるよう格式のある寺を弘法大師・空海が開いたと伝わっています。実際に女人高野と呼ばれるようになったのは時代がもっと下ってからで、記録に残る最初の女人参詣は1450年、九条家、不断光院の尼僧衆によるものです。しかしそれ以前から女性の参詣は行われていたようです。
室生寺は長く興福寺の勢力下にありましたが、元禄年間に護持院隆光僧正と5代将軍徳川綱吉公の母、桂昌院様のご尽力で真言宗の寺となりました。桂昌院様は寺の復興のため多額のご寄付をくださるなど心を寄せられ、そうしたことから女人高野の名が付いたようです。
悩みを表に出すことがほとんどできなかった当時の女性にとって、ありがたい寺だったことでしょう。そして今も、参拝者には女性が多いですね。室生寺には表情の優しい女性的な仏像が多く、そんな仏様たちと向き合い、心安らげる時を過ごされているようです。
「祈りの回廊 『女人高野と桂昌院|室生寺|大本山室生寺 座主/網代智明』」より
密教由来の石仏たち
真言宗は密教系の宗派なわけだけど、密教独特の仏像と言えば明王だ。
一面八臂に、両手の甲を交差させ、片足を踏み出しつつ、両の脚を蓮華座に載せるこのスタイルは、軍荼利(ぐんだり)明王。五大明王の1人だね。
は、はて……なんだか、いろんな特徴があるんですねえ。
左手の人差し指を右手で包み込む智拳印(ちけんいん)は大日如来の証。密教において大日如来は、宇宙の中心、仏のなかの仏と位置付けられている。
山深い境内の道
仁王門から階段へ
仁王門
さて、それでは境内を回ってみよう。まずは仁王門からスタートだ。
金剛力士の仁王像が迎えてくれます。赤と青で対照的ですねえ。
口を広げている方が阿形、口を閉じている方が吽形だ。
室生寺は、山麓から昇りつつお堂を配する、いわゆる山岳寺院。鎧坂と呼ばれる石段を上ると、金堂が見えてくるよ。
金堂、弥勒堂、本堂
金堂
金堂には、本尊の釈迦如来や十一面観音菩薩立像、十二神将といった仏像が安置されている。
弥勒堂
本堂
弥勒堂を過ぎると、今度は本堂が見えてくる。本堂では密教の特別な儀式が行われる。
五重塔
本堂からさらに階段を昇ると、立派な建物が見えてきましたよお。
五重塔
五重塔は1998年、台風で倒された杉の木が倒れてきた結果、大きな被害を受けたものを、再建したんだ。
本堂の左手の石段を登りつめた最上部にこの五重塔は杉木立に囲まれて立っている。
石段下からは相輪部が先ず目に入り段を登るに従って上層から全容が次第に姿を現す。
屋外に立つ五重塔としては最も小さい総高16.1mの塔は奈良時代に一般的であった十六丈級の五重塔の三分の一の大きさである。
真言宗室生寺派 大本山 室生寺(2000)『女人高野 室生寺』(飛鳥園)
東寺のような巨大な五重塔とは違う、山の中に現れる鮮やかな五重塔もまた、良いものですねえ。
奥の院
さ、五重塔へしばしの別れを告げて。600段ほどの階段を登ると奥の院に着くよ。
うっそうとした林を歩いているうちに、いつのまにかこんなに高いところまで来てました、まぼまぼ。


おつかれさま! 奥の院に着いたよ。ここまで、のんびり歩いて1時間というところかな。帰りは下り坂だから、あっというまに下まで着くよ。
なんだか、危なっかしい崖沿いに作ってあります、はてはて。
五重塔の左脇を通りすぎて、一旦下り、急な石段を登り切ると奥之院があります。弘法大師空海像を祀る御影堂(みえどう)は大師堂とも言い、板葺き二段屋根の宝形造りで、屋根の頂に据えられた露盤宝珠は優れた工芸品です。各地にある大師堂の中でも最古の堂の一つです。
「女人高野 室生寺 『伽藍と境内 伽藍一覧』」より
まとめ
- 女人禁制の高野山と比較して、室生寺は「女人高野」と言われた。
- 屋外に立つ五重塔としては最も小さい
- 山路をさらに進んだ先にある奥の院は最古の大師堂の1つ
基本情報
≫公式HP
参考文献
- 真言宗室生寺派 大本山 室生寺編(2000)『女人高野 室生寺』(飛鳥園)
- 三好和義(2015)『室生寺』(クレヴィス)
- 薬師寺君子(2016)『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてわかる!』(西東社)