今回は
西洋絵画のあのキャラクター
について教えてもらえるんだとか。
ウィリアム・ブグロー
『濡れたクピド』(個人蔵)
ウィリアム・ブグロー
『アムールとプシュケー、子供たち』
(個人蔵)
ムリーリョ
『無原罪の御宿り』
(プラド美術館、マドリード)
癒されるわねえ。
天使とキューピッドの違い、
はわかるかな。
まず、キューピッドについて説明しよう。
ヴィーナスとセットで現れるキューピッド
ボッティチェリ
『ヴィーナスの誕生』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
美の女神まぼねえ、うっしっし。
ボッティチェリ
『プリマヴェーラ』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
中央にいるのがヴィーナスだけど、
その真上にキューピッドがいる。
ヴィーナスとキューピッドはしばしばセットで現れるんだ。
アレクサンドル・カバネル
『ヴィーナスの誕生』
(オルセー美術館、パリ)
キューピッドといえばヴィーナス。
だから、キューピッドはヴィーナスのアトリビュートともいえる、
アトリビュートについて知りたい方はこちらの記事もチェックしてくれ~
「エロス」「アモル」「クピド」……キューピッドの別名たち
ウィリアム・ブグロー
『エロスから身を守る少女』
(J・ポール・ゲティ美術館、ロサンゼルス)
ウィリアム・ブグロー
『プシュケとアモル』
(ルーヴル美術館、パリ)
これ、全部、キューピッドに見えますよ。
何が違うんですか、はて。
全部、キューピッド。
ギリシャ神話で「エロス」と呼ばれていた恋心を司る神がいた。
ギリシャ文化がローマに流れてくると、
やがて「エロス」はローマの地元の愛の神である「アモル」や「クピド」と同一視されるようになった。
ちなみに、「キューピッド」はラテン語「クピド」の英語読み。
〔ギリシャ〕「エロス」と呼ばれる神
⇓
〔ローマ〕ギリシャ文化がローマに流れてくると地元の「アモル」「クピド」と同一視される。
⇓
ラテン語の「クピド(Cupido)」が英語で「キューピッド(Cupid)」と呼ばれるように。
弓矢の物語
パルミジャニーノ
『弓矢を作るキューピッド』
(美術史美術館、ウィーン)
キューピッドといえば恋心を抱かせる弓矢だ。
ギリシャ神話に出てくるエピソードをいくつか紹介するよ。
ウィリアム・ブグロー
『プシュケとアモル』
(ルーヴル美術館、パリ)
アモル=キューピッドでしたよね。
プシュケというのは?
キューピッドにキスされている女性ですか?
王の三人娘の末妹プシュケーは最も美しく、美の女神ヴィーナスを差し置いて領民に崇められていた。
ヴィーナスはそれを恨み、
息子のキューピッドに、
プシュケーが最も醜い男と恋に陥るように命じて派遣するが、
当のキューピッドがプシュケーを愛してしまう。
井出洋一郎(2010)
『ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか』
(中経出版)
誤って自分の指を矢で傷つけてしまう。
こうして、
キューピッド自身がプシュケーに恋してしまう
ようになった。
自分に刺しちゃうなんて、
うっかりさんまぼねえ。
親近感感じちゃうわねえ、はて。
まとめ
- キューピッドはヴィーナスの子ども! 絵画でもセットで現れることが多い。
- ギリシャ神話で「エロス」と呼ばれていた神が、やがて「アモル」「クピド」と同一視された。
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参考文献
- 井出洋一郎(2010)『ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか』(中経出版)
- 平松洋(2015)『「天使」の名画』(青幻舎)
- (2011)『図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ』(西東社)
ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか 美術館めぐりが楽しくなる (中経の文庫) [ 井出洋一郎 ] 価格:743円 |