今回は
「西洋絵画の翼を持つ人たち」
シリーズ第3弾です。
前回までの記事を確認したい人は、こっちをチェックしてくれ~。
ユダヤ教、
キリスト教、
イスラム教
の神の使いだって話でしたよねえ、まぼ。
天使がエンジェル……だったマボよね、はてはて。
今回は、両者の違いを探っていこう。
変遷するキューピッド像
ウィリアム・ブグロー
『プシュケとアモル』
(ルーヴル美術館、パリ)
意外と青年の姿で描かれていることもありますよねえ。
〔古典期〕
愛の女神アプロディテの従者として女神に寄り添うように描かれるようになり、その姿は端正な容姿を持つ青年や少年が多い。
⇓
〔アレクサンドリア期〕
アプロディテの子としてのイメージが強まり、いたずら好き、好奇心旺盛、天真爛漫などの性格的な面も付随され幼児化。
(2011)
『図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ』
(西東社)
ルーカス・クラーナハ
『ヴィーナスと蜂蜜を盗むクピド』
(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)
天使とキューピッドの混同
ギリシャ・ローマ時代のキューピッドは忘れられるようになる。
キリスト教にとって、ギリシャ・ローマ神話は異教だからね。
古代ギリシャ・ローマの文化が題材として好まれるようになるんだ。
〔ルネサンス期〕
神エロス(※キューピッドのこと)の愛らしい幼児姿を原型として、神の使いの「天使」が描かれる。
二者の違いは、弓矢を持っているか否かというところで見分けるほかないほどに、その姿は類似し、
次第に天使がクピド(キューピッド)といい表されるようにもなり、両者が混同されていく。
(2011)
『図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ』
(西東社)
ティツィアーノ
『ヴィーナスへの奉献』
(プラド美術館、マドリード)
いつしか、キューピッドとエンジェルの姿が同一視された、というわけだ。
500年以上前から混乱していたんだし、現代の我々も違いがわからなくなるのだって、しょうがないよね。
まとめ
- 天使は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における「神の使い」
- キューピッドは、ギリシャ・ローマ神話の愛の神
- キューピッドはだんだん幼児化し、ルネサンス期には天使と混同されるようにもなった。
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参考文献
- 井出洋一郎(2010)『ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか』(中経出版)
- 利倉隆(1999)『天使の美術と物語―カラー版』(美術出版社)
- 平松洋(2015)『「天使」の名画』(青幻舎)
- (2011)『図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ』(西東社)
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