【ルネサンスとは】④ 盛期ルネサンス/特徴(2)│ヴェネツィア派

こんにちは、はてはてマンボウです。

 

今回は、ルネサンスの西洋絵画の流れを見ています。

 


 

 

 

【ルネサンスとは】③ 盛期ルネサンス/特徴(1)│三大巨匠

 

前回までの記事はこちらをチェックしてくれ~

 


 

さて、今回は引き続き盛期ルネサンス

 

これまでのフィレンツェ、ローマから少し離れた、

ヴェネツィア派の絵画だ。

 

その誕生の背景と特徴、

そしてヴェネツィア派を代表する、

①ティツィアーノ

②ヴェロネーゼ

を見ていくよ。

梓

 

ヴェネツィア派とは?

感覚的な筆致

ジョルジョーネ『テンペスタ』

(アカデミア美術館、ヴェネツィア)

 

教皇のお膝元ととして繁栄したローマ。

一方、東方貿易で得られた富を背景に成長したのがヴェネツィアだ。

 

そこでは、ルネサンスの興りとなったフィレンツェとは、一風変わった絵画の流れが起きるんだ。

梓

 

15世紀のフィレンツェ派は、

遠近法解剖学の研究を通して空間や人物を構造的に把握し、

それをバランスよく画面に配置していくための素描を重視した。

 

当時の絵画技法の主流は、乾燥が速く描き直しができないフレスコやテンペラだった。

そのため、下描きをもとに計画的に描画を行う必要があった。

 

一方、16世紀のヴェネツィア派は、

対象や空間の均衡・調和よりも色彩や筆触

情感表現といった感覚的魅力の追求を優先する傾向がある。

 

この頃に改良された油絵具は、塗り重ねたり削ったりすることができたので、

感覚的に描いていくことが可能になっていた。

 

横山勝彦他(2014年)

『改訂版 西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)

 

同じ「盛期ルネサンス」といっても、

ここにきて、なんだか流れが変わったような感じ、あるわねえ。

 

世俗的な世界観

「流れが変わった」のは、筆致だけじゃない。

貴族や教皇をパトロンとしたフィレンツェやローマとは異なり、

商人という世俗の存在がバックにあったヴェネツィアでは、

表現にも何やら世俗的な雰囲気が漂っていくんだ。

梓

 

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』

(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)

 

当時のヴェネツィアは貿易で豊かとなり、

異国人、異国文化が入り込んだ華やかさと退廃の両方をもつ

コスモポリタンな街でした。

 

教会よりも世俗の力の方が強かった(一般人がパトロン)ため、

表現や解釈に制限がなくなり

宗教画も俗っぽくなります。

 

官能的な表現、

エロチックな裸のヴィーナスの絵も多く描かれ、

寝室に飾る絵として大流行しました。

 

早川裕子(2006)

『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)

 

ラファエロ『大公の聖母』

( ピッティ宮殿パラティーナ美術館、フィレンツェ)

 

ミケランジェロ『聖家族』

(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)

 

たしかに、ラファエロの優美な雰囲気や、

ミケランジェロの肉体の力強さに比べると、

ティツィアーノのヴィーナスは、随分と官能的ねえ。

 

ティントレット『受胎告知』

(サン・ロッコ大同信会館、ヴェネツィア)

 

と思ったら、こっちの受胎告知は、

天使たちが窓からなだれ込んできます~

は、はて~

フラ・アンジェリコ『受胎告知』

(サン・マルコ修道院、フィレンツェ)

 

以前の『受胎告知』の、

二次元上に広がるような落ち着いた表現とはずいぶん違うわねえ。

表現が自由になってきた証マボかもねえ。

では、ここからは具体的な画家に注目していこう。
梓

 

ティツィアーノ

『聖母被昇天』

(サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ聖堂、ヴェネツィア)

 

ヴェネツィア派の最大の巨匠といってもいいのが、このティツィアーノ

神聖ローマ皇帝・カール5世などのヨーロッパの王侯貴族のために、肖像画をはじめとした多くの絵画を手掛けている。

梓
マリア様の鮮やかな赤色の服、しわの感じや影の具合が人物に重みを増しているような感じがしていいわねえ。

この作品は、人々が驚きながら天を仰ぐ中、

聖母マリアが愛らしい天使たちに囲まれて神のもとに上昇する様子をあらわしている。

 

少し暗い地上と明るく輝く天上のあいだを浮遊するマリア、

歓喜の天使たち、

手を伸ばす人々。

 

これまでになかったダイナミックな構図

シンフォニーのような色彩の饗宴がここに誕生し、

画家の名声はヨーロッパ中に浸透する。

 

塚本博(2006)

『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)

 

ヴェロネーゼ

『レヴィ家の饗宴』

(アカデミア美術館、ヴェネツィア)

 

パオロ・ヴェロネーゼは、明るく色彩豊かな衣服をまとう人々たちが並ぶ絵画を描いた。

 

なお、この『レヴィ家の饗宴』は、最初、『最後の晩餐』だったのが、途中でタイトルを変更したものらしい。

梓

 

たしかに、この辺の雰囲気はまんま、「最後の晩餐」マボ。

『カナの婚宴』

(ルーヴル美術館、パリ)

 

「レヴィ家の饗宴」と並び、画家の特色がよくあらわれた会食図の代表作。

この作品は、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島の修道院の食堂を飾っていた。

 

遠近法を使った建物、

多様な色調の群像、

自然な青空など、

華麗な祝宴の舞台を巨大なカンヴァスに展開している。

 

塚本博(2006)

『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)

これが、フィレンツェやローマとは一味違ったヴェネツィア派のルネサンス、というわけマボねえ。
さて、次回はイタリアから離れ、「北方ルネサンス」について見ていこう。
梓

 

まとめ

  • 法王を背景としたローマとは異なり、東方貿易による富を背景に発達したヴェネツィア派でもルネサンス絵画が誕生
  • 油絵による、感覚的な筆致を重要視した絵画が生まれた

 

「ルネサンス」の続きはこちらをチェックまぼ!

 

参考資料

  • 塚本博(2006)『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
  • 早川裕子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
  • 横山勝彦他(2014年)『改訂版 西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)

 

すぐわかる作家別ルネサンスの美術 [ 塚本博 ]

鑑賞のための西洋美術史入門 [ 早坂 優子 ]

西洋・日本美術史の基本改訂版 美術検定1・2・3級公式テキスト [ 美術検定実行委員会 ]

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