今回は、ルネサンスの西洋絵画の流れを見ています。
マザッチオ、
フラ・アンジェリコ、
そしてサンドロ・ボッティチェリの登場だ。
ただ、具体的な絵画を見ていく前に、
初期ルネサンスの時代背景について、少し触れていくよ。
目次
フィレンツェ:初期ルネサンスの中心都市
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(フィレンツェ)
銀行業で富をなしたメディチ家を中心に実力をつけた。
そうして、フィレンツェには、多くの芸術家のパトロンが生まれたんだ。
そんな芸術の土壌があったわけマボねえ。
を作った者の名は、ブルネレスキ。
ルネサンスを代表する建築家で、
ルネサンス絵画にも影響を与えているんだ。
彼はまた、建築図面を作成する過程で、
三次元の建物を二次元の平面に写し取る方法、
すなわち透視図法を最初に考案し、実践した。
この図法は絵画に革命をもたらす。
塚本博(2006)
『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
マザッチオ:「透視図法」と「地に足を付けた」人物たち
『貢の銭』
(サンタ・マリア・デル・カルミネ聖堂 ブランカッチ礼拝堂、フィレンツェ)
彫刻家のドナテッロから影響を受けたのが、
このマザッチオだ。
建築家や彫刻家よりも、
先輩の画家から学んだ方が、いいんじゃないマボか?
マザッチオの作品にちゃんと反映されているんだ。
絵画『貢の銭』の解説を見てみよう。
これは、聖書のワンシーンを描いた絵画なんだけど……。
右手の建物は透視図法で正確に描かれ、
影を付けた背景の山々は深い奥行きを生み出す。
人物は地にしっかりと足をつけ、
彫刻的な重さを感じさせる。
塚本博(2006)
『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
「彫刻的な重さ」というのも、うなづけますマボねえ。
これまでの絵と比べてみても……
人や天使が宙に浮いているみたいに見えることもありました。
それに比べると、たしかに、
「地に足がついている」
って感じマボねえ。
フラ・アンジェリコ:写本採飾画の翼
『受胎告知』
(サン・マルコ修道院、フィレンツェ)
フラ・アンジェリコだ。
色鮮やかな天使の翼だ。
中世の時代には、修道院の画質で聖書の写本彩飾画が盛んに作られた。
それらは装飾のため、
赤や青の濃密な色彩を多用していた。
フラ・アンジェリコの作品が鮮やかな色彩を見せるのは、
写本画の修業が影響している。
塚本博(2006)
『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
ボッティチェリ:人文主義サークルと「異教的テーマ」
初期ルネサンスの中で最も有名な画家と言っても過言ではない、
サンドロ・ボッティチェリだ。
『春(プリマヴェーラ)』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
ルネサンスを代表する絵画マボよ!
ルネサンスと言えば、「復興」。
何を「復興」したイメージかな?
ギリシャ・ローマ文化、マボかねえ。
画題はどれも、「ギリシャ・ローマ神話」ではなく、
「聖書」ばかりなんだ。
『ヴィーナスの誕生』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
異教的テーマを取り入れたことにも特徴がある、というわけだ。
Q.異教的テーマって何ですか?
A,キリスト教以前の神、ギリシア神話のテーマです
個人のための芸術が流行した一五世紀でも
芸術のテーマの八割は聖書でした。
しかし、ボッティチェルリは、
古代以来ほとんど初めての大型異教説話絵画といわれる「プリマヴェーラ」や
女性描写が完成した「ヴィーナスの誕生」など
ギリシア神話をテーマにした作品を多く残しました。
キリスト教からすれば異教的なギリシア神話の絵画が制作できたのは、
世俗のパトロンからの注文があったからです。
経済的に繫栄していたフィレンツェには、
メディチ家を筆頭に、
パトロンとなる裕福な市民が多かったのです。
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
この見慣れた絵にも、実はこんな意義があったわけマボねえ。
ギリシャ・ローマ神話をテーマに絵画を描けたんでしょうか、はて。
「人文主義者」と呼ばれる、いわゆる当時の「知識人」だったからだ。
財力あるメディチ家の学芸保護により、
哲学者マルシリオ・フィチーノを中心とした
人文主義サークルが形成される。
このサークルでの古典や神話への深い教養が、
ボッティチェリやミケランジェロの美術作品に反映してゆく。
塚本博(2006)
『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
人文主義サークルの一員として古典を勉強していた、
というわけマボねえ。
なるほどマンボウ。
今回のボッティチェリに引き続き、
超有名な画家たちが登場するよ。
まとめ
- 初期ルネサンスは、メディチ家をはじめとした財力を背景に成長したフィレンツェを中心に始まった
- マザッチオは、ブルネレスキの透視図法を絵画技術へ反映させた
- 人文主義サークルの一員だったボッティチェリは、画題にギリシャ・ローマ神話を取り入れた
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参考資料
- 塚本博(2006)『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
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早川裕子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
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