今回は、ルネサンスの西洋絵画の流れを見ています。
ルネサンスの三大巨匠、
①レオナルド・ダ・ヴィンチ
②ミケランジェロ・ブオナローティ
③ラファエロ・サンティ
を紹介しよう。
目次
盛期ルネサンスってどんな時代?
舞台はフィレンツェからローマへ
盛期ルネサンスでは、ローマ教皇がパトロンとなったことから、
芸術の舞台はフィレンツェからローマへと移っていくんだ。
ラファエロ・サンティ『ユリウス2世の肖像』
(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)
ラファエロ・サンティ『レオ10世と2人の枢機卿』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
しかし、ローマ教皇までバックにつけて、さぞ長らく盛り上がったんじゃないマボか?
1500~1530年の、たった30年で終わってしまうんだ。
ローマ略奪
ヨハネス・リンゲルバッハ『ローマ略奪』
(個人蔵)
ローマの地で殺戮や破壊の限りが尽くされる「ローマ略奪」と呼ばれる大事件が発生する。
当時のヨーロッパではイタリア征服をめぐる闘争が繰り返されていました。
とりわけ、1527年、
ルター派のドイツ傭兵が多くを占める神聖ローマ帝国軍によるローマの襲撃はすさまじく、
殺人、掠奪、強姦などを繰り返す
「無差別殺戮と完全な破壊」
をおこないました。
教皇庁の威信、教会の権威は薄れ、
荒れ果てたローマからは、多くの芸術家たちも去り、
ヨーロッパ各地に散っていくのです。
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
文化人もいなくなる……。
盛期ルネサンスの期間の短さがよくわかったマボねえ。
盛期ルネサンスには多くの芸術家が活躍した。
その中には、
「ルネサンスの三大巨匠」と呼ばれ、
「古代と自然さえ凌駕した」
とさえ言われるような巨人たちがいるんだ。
ダ・ヴィンチ:統一的な画面構成とスフマート技法
統一的な画面構成
『最後の晩餐』
(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会、ミラノ)
『岩窟の聖母』
(ルーヴル美術館、パリ)
レオナルド・ダ・ヴィンチだ。
『岩窟の聖母』では、登場人物が三角形のように並んでいる。
この安定感のある構図は、他の「三大巨匠」である、
ミケランジェロやラファエロにも影響を与えたんだ。
場面の主役であるキリストの頭上へ視線が向かうよう、
透視図法が使われていた。
スフマート図法
『モナ・リザ』
(ルーヴル美術館、パリ)
何度もぼかして絵具を塗り重ねることで、
輪郭線を消してしまう、
「スフマート」
と呼ばれる技法も生み出したんだ。
ミケランジェロ:「ヘレニズム的肉体美」と「マニエリスム」の萌芽
『アダムの創造』
(システィーナ礼拝堂、ヴァティカン)
ギリシャ・ローマ時代の彫刻のような肉体美から、
ミケランジェロは多大な影響を受けたんだ。
『聖家族』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
聖母マリアはずいぶん力強い感じがするマボねえ。
これも、「ヘレニズム的」というわけマボか?
それに、後ろを向きながら手を伸ばすような、複雑な身体表現。
このように、身体美の追究の末、誇張されたような表現となっていくと、
このムーブメントは、やがて「マニエリスム」という流れにつながっていく。
ラファエロ:美術の範例に
いいとこ取りのラファエロ
『小椅子の聖母』
( ピッティ宮殿パラティーナ美術館、フィレンツェ)
どちらかといえば甘美な表現が目立つね。
『大公の聖母』
( ピッティ宮殿パラティーナ美術館、フィレンツェ)
ラファエロは、登場人物のポーズや構図、表情や技法など、
ダ・ヴィンチやミケランジェロなどから学んでいた。
それら優れた先人たちのいいとこどりをしたのがラファエロ、と言ってもいいかもしれない。
新古典主義の模範にも
18世紀中頃から19世紀初頭にかけての、
ギリシャ・ローマ時代を理想とする「新古典主義」
にも影響を与えたんだ。
新古典主義の重鎮である、ドミニク・アングルと、ラファエロの絵画を比べてみよう。
ラファエロ『システィーナの聖母』
(アルテ・マイスター絵画館、ドレスデン)
ドミニク・アングル『ルイ13世の誓願』
(ノートルダム聖堂、モントーバン)
後世まで、大きな影響を与えていたのねえ。
まとめ
- 1500~1530年のわずかな期間、ローマを中心とした盛期ルネサンスの時代を迎えた
- ダ・ヴィンチとくれば「透視図法」「スフマート図法」
- ミケランジェロとくれば「ヘレニズム的肉体美」「行き過ぎた身体表現」
- ラファエロとくれば「先人たちのいいとこどり」
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参考資料
- 塚本博(2006)『すぐわかる 作家別 ルネサンスの美術』(東京美術)
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早川裕子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
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