今回は辞書の編集者の飯間浩明さんの著書シリーズ、第2段、
【日本語/飯間浩明】① 言葉の使い方を考える/辞書を編む などから
前回までの記事はこちらをチェックしてくれ~
どうすれば伝わりやすい文章が書けるか
について見ていくよ。
目次
非論理的な人のための論理的な文章の書き方入門
「クイズ文」を書けばいい
飯間浩明(2008)『非論理的な人のための論理的な文章の書き方入門』(ディスカヴァー携書)
「クイズ文」
という型を使えば伝わる文章が書ける、と主張している。
クイズ文とは耳慣れないことばですが、私が作った用語です。
テレビや本に出てくる、あのクイズそのままの形式を持つ文章のことを、こう名づけています。
もっと具体的に言えば、
「問題・結論・理由」
の三つを備えた文章のことです。
「考えの伝わる文章を書くということと、
読みやすい文章を書くということは別物」
と指摘した上で、
「考えの伝わる文章」のフォーマットを提示しているんだ。
- 問題の提示
- 結論の提示
- 理由の提示
- 想定される反論とそれへの再反論
- 結論の確認
この「クイズ文」フォーマットに従って書いていけば、伝わる文章を作れる、というわけマボねえ。
実例:ヘスス・スアレスさん
「大人気ジャーナリストのヘスス・スアレス氏が『ワールドサッカーダイジェスト』編集部を電撃訪問!」
(2021年3月2日閲覧)
誰マボか。
という有名な日本のサッカー雑誌に昔から寄稿しているジャーナリストだ。
独特な言い回しが有名で、「賢明なる読者の~」もその1つ。
さて、実は彼の文章は実はクイズ文となっていることが多いんだ。
〔サッカーのスーパー・スターであるクリスティアーノ・ロナウドを評して〕(問題)
私は、ポルトガル人スターについてはしばしば苦言を呈している。 (結論)
「リーガ得点王に輝き、あまつさえバロンドールを受賞しているような選手をなぜこき下ろすのか?」
そう呆れかえる人もいた。
しかし私は、C・ロナウド自身を批判するよりは、彼に対する的外れな論調にもの申したかった。
得点能力が高いことは、フットボーラーとしての才能とイコールでは結べない。その点を主張したかった。(想定される反論とそれへの再反論)
一人のアスリートとして肉体能力で相手を打ち負かす、という部分でC・ロナウドは突出しているが、フットボールインテリジェンスにおいては、アンドレス・イニエスタやシャビ・エルナンデスと比ぶべくもない。 (理由)
彼はフットボールを創る選手としては凡庸の域を出ない。(結論の確認)
ヘスス・スアレス他(2014)
『英雄への挑戦状―世界最高のサッカー選手論』
(東邦出版)
ここで示されている要素は網羅されている。
しかし、激しい論調の人マボねえ……
クイズ文の注意点
「問題設定」の注意点
- 漠然とした問いかけのもの
論点が曖昧なので無数の結論が出てしまう。
- 主観的なことばを伴っているもの
「楽しい」「よい/悪い」など主観的な言葉は定義が人それぞれなので、
議論に決着がつかない。
「問題」のよくない述べ方
- 問題が書かれていない
そもそも問題が書かれていなければ、議論ができない。
- 問題が複数ある
問題が複数あると、何について議論すればいいのかわからなくなる。
「結論」のよくない述べ方
- 結論が書かれていない
問題が投げっぱなしで、筆者の結論がない。
- 問題と結論がかみ合わない
問題提起した内容と結論が論理的に結びついていない、論理の飛躍がある。
伝わる文章の書き方教室
飯間浩明(2011)『伝わる文章の書き方教室 書き換えトレーニング10講』 (ちくまプリマー新書)
文章を書く際にどのような語を選ぶべきか、
またその語彙力のトレーニング方法について語っているのが、
『伝わる文章の書き方教室』。
和語と漢語とを互いに書き換える
以下は、『伝わる文章の書き方教室』から。
次の文の太字の漢語を和語に書き換えてください。
山田くんは、休日に友人と観劇に行きました。
そもそも「和語」と「漢語」って何マボか~
大ざっぱに言えば、
和語は、漢字を訓読みすることば。
漢語は、漢字を音読みすることばです。
もっと正確に言えば、和語とは、中国語などから入ってきたのではない、固有の日本語です。
たとえば、「うみ」「やま」「ひと」「けだもの」「うつくし」など。(中略)
これらのことばは、中国から漢字が入ってくると、
「海」「山」「人」「獣」「美し」など、
漢字の訓読みとしても使われるようになりました。一方、漢語とは、漢字を中国語の発音に基づいて読むことばです。
たとえば、「海洋」「山地」「人間」「野獣」「優美」などは漢語です。
休みの日に友だちとお芝居を見に行きました
となる。
ちなみに、和語と漢語を使いわけられるようになると、どんないいことがあるマボか。
漢語は大人っぽい締まった印象を与えるけど、とっつきにくさがある。
文章全体のバランスや、
どんなシチュエーションで書いている文章なのかを意識して、
使いわけるといいね。
「が」「て」を使わず一続きの文に書き換える
次の文章は3つの文でできています。
これを書き換えて、一続きの文にしてください。
なお、文と文の間を「が」「て」でつないではいけません。
山田高校は3点を追っていた。9回表に相手投手のミスから同点に追いついた。9回裏、相手打線が爆発して競り負けた。
どうしてこんな制限をするマボか!
と飯間さんは指摘している。
そう考えると、「が」「て」を使わずに、わざと長い文を続けて書くというトレーニングの有効性が分かります。
「が」「て」を「NGワード」とすることで、だらだらと書かずに、話の道筋をはっきりさせて書く癖が身につきます。
山田高校は3点を追い続けたあげく、9回表に相手投手のミスから同点に追いついたのもつかの間、その裏、相手打線が爆発して競り負けた。
マンボウちゃんもトレーニング、がんばるマボよ~、はってはて~
まとめ
- 「問題」「結論」「理由」「想定反論と再反論」「結論の確認」のクイズ文で伝わる文章を書こう!
- 「和語と漢語の使い分け」「『が』『て』を使わない」といったトレーニングも有効!
「日本語」シリーズ
- 「異字同訓」/漢字の使い分け例│『新しい国語表記ハンドブック』より
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- 【日本語/飯間浩明】① 言葉の使い方を考える/辞書を編む などから
- 【日本語/飯間浩明】② 文章の書き方を考える/伝わる文章の書き方教室 などから
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