今回は、ルネサンスの西洋絵画の流れを見ています。
「フランドル」
「ドイツ」
といった「北方」での芸術活動を見ていくよ。
目次
北方ルネサンスとは?
「北方」って?
「アルプス山脈」よりも北側、
すなわち、イタリアよりも北の方、ぐらいの意味だね。
ある意味、それだけイタリアというのは存在感があったわけマボねえ。
- フランドル
現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域
- ドイツ
現在のドイツ、オーストリアを中心とした地域
まあ、だいたい、「ドイツ語を話す人たちが住んでいる地域」ぐらいのニュアンスかな。
「ドイツ」を名乗る国家は、この時点では存在しないしね。
油彩画、細密な描写、聖書の「シンボル」
これに加えて、油彩画や、細密描写も特徴的だ。
〔油彩画の技法はフランドル発〕
フランドル絵画の特徴は緻密で写実的な描写にあります。
これは油絵具だから可能になったことです。
フレスコ画は細かく描けないし、
テンペラ画ではグラデーションはつくれません。
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
ロベルト・カンピン『受胎告知の祭壇画』
(メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
絵画の中の小道具として描かれている。
Q.日常世界で展開する聖書のシーンとは
A.超自然的な出来事を家庭的な室内に表現したことが画期的
象徴的意味とは、たとえば、
ユリ→純粋→マリア
水鉢→活ける井戸→マリア
こんな具合です
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
ヤン・ファン・エイク:極度の細密描写
『アルノルフィーニ夫妻の肖像』
(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)
この、約80cm×60cmの絵に描かれた鏡に近づいてみると……
夫婦の後ろ姿と画家の姿まで描かれているマボよ~!
『受胎告知』
(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)
しかも、薄暗い影の中に表現しています!
冠の装飾も丁寧マボ。
肌つやも、本当に生きている人みたいマボねえ。
さっきの天使もそうですが、髪の毛も一本一本書き込まれていますねえ。
デューラーとクラーナハ:人文主義とロマンティシズム
デューラー:人文主義
『アダムとイヴ』
(プラド美術館、マドリード)
デューラーは、ヴェネツィア訪問などを通じて、従来の北方絵画にはなかった、
「理想的」「古典的」
なプロポーションの絵画を描いた。
クラーナハ:北方のロマンティシズム
『ホロフェルネスの首を持つユディト』
(美術史美術館、ウィーン)
彼の絵画は、デューラーとは異なり、
ギリシャ的な古典的理想の美というよりも、
どこか人形めいた、独特のロマンティシズムが漂う。
本当に人形のようで、凍るような美マボねえ。
ブリューゲル:民へのまなざし
『雪中の狩人』
(美術史美術館、ウィーン)
しかも宗教画のテーマから離れて描いたところに、
ブリューゲルの特徴があるんだ。
こういったところに、ルネサンスから次のバロックの時代の萌芽が見られる、と言ってもいいかもね。
風俗画で高い評価を得るブリューゲルは風景画も凄く、
写実性と感性を兼ね備えた革新的な風景画を残しています。
また、誰もかれもイタリアだ古典だという時代なのに、
ブリューゲルはイタリアに旅行しても古代遺跡に興味を持たなかったようです。
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
『ネーデルラントのことわざ』
(ベルリン美術館、ベルリン)
例を挙げると、「ネコの首に鈴をつける」はこのシーン。
宗教改革で教会からの絵の注文は減りますが、
風景、静物、風俗がテーマの絵画が市民の注文によって製作されます。
これが、フランドル絵画の特徴のひとつです。
ことわざ集や格言集がベストセラーとなった時代でもありました。
つまり、一般人の文化が拡大した証拠です。
早川裕子(2006)
『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
まとめ
- アルプス以北のフランドル地方やドイツ地方などを中心とした絵画の流れが「北方ルネサンス」
- ヤン・ファン・エイクを筆頭に「油絵具」「細密描写」の絵画が勃興
- ブリューゲルは、従来の宗教画とは全く異なる、村人をテーマにした絵画を描いた
「ルネサンス」の続きはこちらをチェックまぼ!
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参考資料
- 早川裕子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
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