今回のテーマは中世ヨーロッパですか。
ファンタジー世界のイメージです。
目次
中世とは
いつからいつで、何があった?
そんなに長い間、「中世」が続くマボか。
476年の、ゲルマン人の大移動に端を発するローマ帝国滅亡から
1453年のビザンツ帝国滅亡まで
あたりの期間を指すことが多い。
ローマ帝国の円形闘技場
「コロッセオ」
(ローマ)
中世は「暗黒時代」
「野蛮な時代はここからここまで」
と決めたのが中世の期間だから。
中世は「暗黒時代」とも呼ばれる。
ボッティッチェリ
『ヴィーナスの誕生』
(ウフィツィ美術館、フィレンツェ)
このときの高度な文化を現代によみがえらせようとする運動をしていた。
そうなると、476年のローマ帝国の滅亡は、
「野蛮なゲルマン人による崇高な文明の破壊の始まり」となる。
そして中世を代表する帝国であるビザンツ帝国が滅亡した1453年は、
「野蛮な暗黒時代の中世が終わりを告げた象徴」とも言える。
これからは、
「古代ローマ・ギリシャの崇高な文化が、ルネサンスのもと復興される!」
というわけだ。
現代まで続く伝統的な農法の確立
中世後半の11世紀、
「中世農業革命」
とも言われる農業の変革が起きた。
そりゃ、えらく大げさな言葉を使うわねえ。
「重量有輪犂(じゅうりょうゆうりんすき)」
の導入だ。
車輪のついた重いスキを家畜に引かせることで、土地を容易に耕せるようになったんだ。
これはヨーロッパでも現代まで続く伝統的な耕作法となった。
『ベリー公のいとも豪華なる祈祷書』
(コンデ美術館、シャンティイ)
都市の暮らし
「街の中は汚物まみれ」って本当?
カンタベリー大聖堂
(ロンドン、イギリス)
「中世ヨーロッパの都市は、汚物でいっぱいだった」
って聞いたことがあるマボけど、本当マボか?
- フランス国王が宮殿からセーヌ川を眺めると、馬車がまきあげた泥やほこりで耐えがたいほどの悪臭が充満したので、パリ中の街路や道路を念入りに舗装させた。
- 農村的慣習として、都市内では家畜が放し飼いで飼育されていた。
- 14世紀以降、街路における糞便の増加や悪臭、道路や下水の塵芥の問題に対する法令が出された。
河原温・堀越宏一(2015)
『図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本)』(河出書房新社)より
ハイヒールの由来が「道の糞避け」って本当?
なんでもハイヒールは都市の糞便を避けるために生まれたという噂があるマボけど……。
『十三世紀のハローワーク』
作者のグレゴリウス山田さんのブログに詳しい。
十三世紀のハローワーク 中世実在職業解説本 [ グレゴリウス山田 ] 価格:2,970円 |
Q1:中世ヨーロッパでは溜まった糞尿を窓から投げ捨てていたか
A1:事実。ただし多少の補足は必要
Q2:その道の糞を踏まないようにハイヒールが生み出されたか
A2:底の厚い靴は存在した。ただし降ってきた糞便対策が主用途というわけではない。
Q3:その厚底靴がハイヒールの起源になったか
A3:今日のハイヒールとの直接の関係はない
Q3.5:では今日のハイヒールの起源は何か
A3.5:諸説あるが、少なくとも糞ではない
要するにハイヒールの起源と糞はほぼ関係ないということになります。
WTNB機関年代記 「 ハイヒールと中世と糞の話 」より
まとめ
- 古代ギリシャ・ローマの文化が失われた千年間が「中世」と名付けられた
- 中世農業革命で生まれた農法は現代にも影響する伝統的な農法に
- 中世の都市は汚れていたが、これがハイヒール起源説に結びつくかは怪しい
参考資料
- 河原温・堀越宏一(2015)『図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本)』(河出書房新社)
- 歴史の謎を探る会編(2012)『最高に面白い時代ルネサンスが2時間でわかる本』(KAWADE夢文庫)
図説中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本) [ 河原温 ] 価格:2,035円 |