今回は……。
・ギリシャ神話のキューピッド
・聖書の天使(エンジェル)やイエスを描いた聖母子像
というのが定番。
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子どもが出てくる西洋絵画の背景が分かるはず!
ラクダの毛皮を着た幼児といえば……聖ヨハネ
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「貝殻を持つ幼児キリストと洗礼者聖ヨハネ」
(プラド美術館、マドリード)
「洗礼者ヨハネはラクダの毛皮をまとっている」
というお約束がある。
洗礼者ヨハネはときどき幼児の姿で描かれることがあるんだけど、この毛皮をまとっている幼児は、大抵聖ヨハネ。
その場合、すぐ近くにいる幼児はイエスだ。
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連れ去られるのは赤ちゃん……? 「ガニュメデスの誘拐」
レンブラント・ファン・レイン「ガニュメデスの誘拐」
(アルテ・マイスター絵画館、ドレスデン)
赤ちゃん、ギャン泣きマボ……。
ちなみに、英語では “The Rape of Ganymede”として知られているんだけど、このときの”rape”は「略奪」という意味なんだ。
ガニュメデスという子どもを、ワシが無理やり連れて行っている、ということだね。
日本語訳では「ガニュメデスの略奪」とか「ガニュメデスの誘拐」といったタイトルが見られるよ。
ワシに変身したゼウスが、美しいガニュメデスをさらい、オリュンポスの神々の給仕にした、と言われている。
ちなみに、みずがめ座はガニュメデスと酒壷に由来する、という説もある。
このレンブラントの絵だと赤ちゃんになっていますが……。
マンボウちゃんが言うとおり、普通は青年の姿で描かれているよ
ピーテル・パウル・ルーベンス「ガニュメデスの誘拐」
(シュヴァルツェンベルク宮殿、ウィーン)
コレッジョ「ガニュメデスの略奪」
(美術史美術館、ウィーン)
じゃあ、レンブラントだけが例外マボか?
「ガニュメデスの誘拐」というと、このレンブラントの絵画が第一に挙げられることもあるんだけど、
本来のギリシャ神話の内容に照らせば、ジョーク的な絵画でもあるんだ。
「お前は世界の創造主を運んでいるのだ」……「クリストフォロス」
ヒエロニムス・ボス「聖クリストフォロス」
(ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン、ロッテルダム)
一方、子どもは優雅そうです、はてはて。
大男のクリストフォロスは、ある日、小さな子どもに川を渡してほしいと頼まれたとき、子どもがどんどん重くなっていくのに気づく。
この子どもは子泣きじじいマボか。
「おまえは世界の創造主を運んだのだ」
クリストフォロスが運んだのは、イエスだった、というわけだ。
運んでいたのは、世界そのものと言っても良かったかもしれない。重くて当然。
これを機に、イエスに祝福され、クリストフォロス 、すなわち「キリストを担う者」という名前に改名することになった。
ステンドグラス美術館(旧高橋倉庫) | 小樽芸術村 (nitorihd.co.jp)
まとめ
- ギリシャ神話や聖書には、キューピッドや天使、イエスのほかにも時折子どもたちが登場
- 聖ヨハネはラクダの毛皮を被った姿で、幼児として現れることも
- ガニュメデスは本来美少年のはずが、レンブラントの絵では幼児として登場
- 川で子どもを背負う大男・クリストフォロスの肩にはイエスが
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