【子ども/神話/聖書】聖ヨハネ/ガニュメデス/クリストフォロス

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回は……。

「子どもと絵画」……はて。
西洋絵画で子どもといえば、

・ギリシャ神話のキューピッド
・聖書の天使(エンジェル)やイエスを描いた聖母子像

というのが定番。

梓

 


 

【天使/キューピッド】「エンジェル」ってなんだっけ?╿西洋絵画の翼を持つ者たち③

 

天使やキューピッドに関連した記事はこちらをチェックしてくれ~

 


 

 

今回は、これら以外の子どもをテーマにしたギリシャ神話やキリスト教の物語を紹介するよ。

子どもが出てくる西洋絵画の背景が分かるはず!

梓

 

ラクダの毛皮を着た幼児といえば……聖ヨハネ

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「貝殻を持つ幼児キリストと洗礼者聖ヨハネ」

(プラド美術館、マドリード)

西洋絵画には、
「洗礼者ヨハネはラクダの毛皮をまとっている」
というお約束がある。

洗礼者ヨハネはときどき幼児の姿で描かれることがあるんだけど、この毛皮をまとっている幼児は、大抵聖ヨハネ。

その場合、すぐ近くにいる幼児はイエスだ。

梓
こういう、絵画の中のキャラクターを現わす要素は「アトリビュート」って言ってましたよね。

【アトリビュート/シンボル】美術におけるその違いとは╿キリスト教宗教画のお約束①

 

アトリビュートに関する記事はこっちもチェックまぼ!

 

連れ去られるのは赤ちゃん……? 「ガニュメデスの誘拐」

レンブラント・ファン・レイン「ガニュメデスの誘拐」

(アルテ・マイスター絵画館、ドレスデン)

 

赤ちゃんがワシにさらわれてます、はて!

赤ちゃん、ギャン泣きマボ……。

これは『ガニュメデスの誘拐』というタイトルの絵画。

ちなみに、英語では “The Rape of Ganymede”として知られているんだけど、このときの”rape”は「略奪」という意味なんだ。

ガニュメデスという子どもを、ワシが無理やり連れて行っている、ということだね。

日本語訳では「ガニュメデスの略奪」とか「ガニュメデスの誘拐」といったタイトルが見られるよ。

梓
ぎょっとする英語ですが、そんな意味があるんですねえ……。
ガニュメデスは、元々はギリシア神話に出てくる美少年

ワシに変身したゼウスが、美しいガニュメデスをさらい、オリュンポスの神々の給仕にした、と言われている。

ちなみに、みずがめ座はガニュメデスと酒壷に由来する、という説もある。

梓
ふむふむ……って、美少年?

このレンブラントの絵だと赤ちゃんになっていますが……

このテーマは西洋絵画でしばしば描かれていて、同じタイトルの絵画も複数存在する。

マンボウちゃんが言うとおり、普通は青年の姿で描かれているよ

梓

ピーテル・パウル・ルーベンス「ガニュメデスの誘拐」

(シュヴァルツェンベルク宮殿、ウィーン)

 

コレッジョ「ガニュメデスの略奪」

(美術史美術館、ウィーン)

ほんとマボ!
じゃあ、レンブラントだけが例外マボか?
そういうこと。

「ガニュメデスの誘拐」というと、このレンブラントの絵画が第一に挙げられることもあるんだけど、
本来のギリシャ神話の内容に照らせば、ジョーク的な絵画でもあるんだ。

梓

「お前は世界の創造主を運んでいるのだ」……「クリストフォロス」

ヒエロニムス・ボス「聖クリストフォロス」

(ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン、ロッテルダム)

おじさんが背中を曲げて子どもを運んでます。くたびれている感じねえ。

一方、子どもは優雅そうです、はてはて。

小さな子どもを連れたおじさんが川を渡っている絵画を見れば「聖クリストフォロス」の絵画だとすぐに分かる。

大男のクリストフォロスは、ある日、小さな子どもに川を渡してほしいと頼まれたとき、子どもがどんどん重くなっていくのに気づく。

梓
妖怪みたいな話マボねえ。

この子どもは子泣きじじいマボか。

溺れかかりながらも、どうにかクリストフォロスが岸に辿りつくと、子どもは言う。

「おまえは世界の創造主を運んだのだ」

クリストフォロスが運んだのは、イエスだった、というわけだ。
運んでいたのは、世界そのものと言っても良かったかもしれない。重くて当然。

梓
こりゃ大変失礼しましたマボ……。
ちなみに、クリストフォロスはもともとレプロブスという名前だったらしい。

これを機に、イエスに祝福され、クリストフォロス 、すなわち「キリストを担う者」という名前に改名することになった。

梓
ラテン語を知っている人に最初から、「クリストフォロスは~」と説明しちゃうと、言葉の意味が分かるからネタバレになっちゃいますね、はて。
北海道の小樽にある「ステンドグラス美術館」には、聖クリストフォロスのステンドグラスもあるから、機会がある人はぜひチェックしてみてね。
梓

ステンドグラス美術館(旧高橋倉庫) | 小樽芸術村 (nitorihd.co.jp)

 

まとめ

  • ギリシャ神話や聖書には、キューピッドや天使、イエスのほかにも時折子どもたちが登場
  • 聖ヨハネはラクダの毛皮を被った姿で、幼児として現れることも
  • ガニュメデスは本来美少年のはずが、レンブラントの絵では幼児として登場
  • 川で子どもを背負う大男・クリストフォロスの肩にはイエスが