今回は……。
胎蔵界曼荼羅
(東寺、京都)
金剛界八十一尊曼荼羅図
(根津美術館、東京)
その世界観の入り口部分を今回は見ていこう。
密教とマンダラ
「日本に密教を伝えた名僧・空海が建てた東寺」
についてまとめた記事マボよ~。
こちらもチェックしてくれ~。
「マンダラ」の意味
- 「マンダ」は、「神髄」「本質」「中心」。すなわち「さとり」。
- 「ラ」は、所有を表す接尾辞。
- よって「マンダラ」とは、「本質を有するもの」「エッセンスを持つもの」「さとりを有する場」。
もうちょっと説明してくれないかしら。
「口で説明すると分かりにくいから図を書くね」。
日常生活でもよくあるが、密教の曼荼羅も、複雑な世界観を分かりやすいように視覚化したもの。
修行の末に至る悟りの境地が、目で見て分かりやすいように幾何学的な図を用いて表現されている。
(中略)
庶民にとっては理解の難しい悟りの世界でも、こうして美しい図面に表されると、密教へ惹きつけられるようになる。
また、悟りを求めて修行する際に、曼荼羅を思い描くことで、その助けとすることもできる。
知的発見!探検隊(2013)
『あらすじとイラストでわかる密教』(文庫ぎんが堂)
マンダラの特徴
○空間、領域、場
・マンダラは、広がりを持った空間。
・その内と外、つまり聖と俗という異次元の関係がある。
○複素性
・中央の大日如来以外にも、その周囲を取り囲む数多くの仏たちにそれぞれの役割がある。
○中心を持つ
・必ず中央に本尊がいて、その聖なる世界を代表している。
○調和性
・マンダラの中には、次のように数多くの仏が存在する
・悟りを得ている如来
・悟りが約束されながらも、人々を救うために存在する菩薩
・怒りでもって改心させようとする明王
・インド起源の神々の天部
頼富本宏 (2014)『密教とマンダラ』(講談社学術文庫)参照
両部曼荼羅
①胎蔵(たいぞう)曼荼羅
②金剛界(こんごうかい)曼荼羅
の2つのマンダラで表される。
なお、通例では「胎蔵曼荼羅」を「胎蔵界曼荼羅」と言ったり、
「両部曼荼羅」を「両界曼荼羅」とも言うこともあるね。
胎蔵曼荼羅
「大日如来の胎蔵(=子宮)から、大いなる慈悲を行う諸尊を生み出す」という意味である。
中心に配された大日如来の慈悲が、衆生のもとへ広がり実践されるまでの展開が表現されている。
知的発見!探検隊(2013)
『あらすじとイラストでわかる密教』(文庫ぎんが堂)
胎蔵曼荼羅中台八葉院
(wikipedia「胎蔵界五仏」より 2021年5月24日閲覧)
- 東:宝幢如来、「発心」を表す(悟りを開こう心に決める)
- 南:開敷華王如来、「修行」を表す(悟りへ向かって努力を積む)
- 西:無量寿如来、「菩提」を表す(悟りの実感を得る)
- 北:天鼓雷音如来、「涅槃」を表す(悟りが完成する)
※胎蔵曼荼羅では画面の上が東、金剛界曼荼羅では画面の上が西
いろんな如来がいるのねえ。
しかし、密教ってちょくちょく大日如来が出てきますけど、そんなに偉いんですか。
あらゆる仏も元を辿れば大日如来に辿り着く。
そして大日如来は不滅の真理そのものだともされている。
金剛界曼荼羅
金剛石のように堅い智慧を持つ大日如来が、四仏や十六大菩薩などの「金剛界三十七尊」を生み出すことを表している。
横3×3の刑9つの正方形から構成されているが、この一つひとつが大日如来の世界観を表している小さな曼荼羅と考えてもよい。
知的発見!探検隊(2013)
『あらすじとイラストでわかる密教』(文庫ぎんが堂)
金剛界曼荼羅が大日如来の智慧の世界を表していることから、金剛界五仏は「五智如来」とも呼ばれる。
東寺「立体曼荼羅」より(2021年5月24日閲覧)
マンダラの世界に少し近づいたようで、深遠な世界が広がっていることもわかったマボよ。
次回からは、「マンダラの中の仏たち」について見ていこう。
まとめ
- マンダラそのものが、密教における真理そのものを表す完成された世界観
- 両部曼荼羅と呼ばれる2つのセットが、代表的なマンダラ
- 宇宙の中心である大日如来を中心に描かれている
「曼荼羅」と「仏」シリーズ
これでとっつきやすくなるはず……マボ!
- 密教の2つのマンダラ╿胎蔵曼荼羅/金剛界曼荼羅
- 大日如来/金剛薩埵|マンダラの中の密教の仏たち①
- 不動明王/五大明王|マンダラの中の密教の仏たち②
- 【印相/仏像】定印/施無畏印/与願印……如来や五大明王の結ぶ「印」とその種類
- 【如来/菩薩/明王/天】今日からわかる仏像/種類/見分け方
参考資料
- 小峰彌彦 (2016)『図解 曼荼羅入門』(角川ソフィア文庫)
- 知的発見!探検隊(2013)『あらすじとイラストでわかる密教』(文庫ぎんが堂)
- 正木晃 (2012)『空海と密教美術』(角川選書)
- 頼富本宏 (2014)『密教とマンダラ』(講談社学術文庫)
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