【天/仏像】古代インドの神々がルーツの仏│その意味/特徴

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回のテーマは、「天の仏像」だそうで。

はて、「天の仏像」って、これまでも何回か出てきたような。

 


 

今日からわかる仏像の見分け方╿如来・菩薩・明王・天

 

 

【インド神話】シヴァだって仏に?╿仏教の中のヒンドゥー教の神とその「やばい」物語

 


 

仏のうち、

「如来」「菩薩」「明王」「天」

という4つのカテゴリーの中の1つが「天」だね。

 

これまでも、何度か、
「インド神話の神々が、仏教に取り込まれ、天部になった」
という話はしてきたね。

今回は、「天の仏像の特徴」をもう少し見ていこう。

梓
ここからは、『天部像のすべて』を参考に、天の仏像の特徴を紹介していくよ。
梓

女神像がたくさん

「如来」「菩薩」「明王」といった仏たちには基本的に性別はない一方、

インド神話の神々に由来する「天」には、明確に「女性」であるとうたっている仏がいる。

梓

 

弁財天

『弁財天立像』

(浄瑠璃寺、京都)

弁財天は、七福神でも有名だね。
インド神話の「ブラフマン」(仏教では「梵天」)の妃で、

水辺の女神「パールヴァティ」がモデルだ。

梓

 

吉祥天

『吉祥天図』

(薬師寺、奈良)

吉祥天は、インド神話の最高神である「ヴィシュヌ」の妃である「ラクシュミー」がモデル。

 

なんだけど、仏教では毘沙門天の妻とされている。

梓
はて。混乱してますね。

 

弁財天と日本の神様が……?

伝承が日本へ伝わるまでの間に内容が変わることもあれば、

日本に伝わった後に仏教が変容することもある。

例えば、弁財天は、日本の神様である「イチキシマヒメ」と同一視されるようになった。

梓
イシキシマヒメ……いつくしま、みたいな響きですね。

厳島神社の。

そう、その厳島神社や、宗像大社など、海辺の神社でよくまつられているんだ。

イチキシマヒメは、海辺の女神だということで、水の神様である弁財天と同一視されたらしいね。

梓

 

戦士の姿で甲冑を身にまとう

仏敵から仏教世界を守るガードマンの役割を持つ天部の仏たちもいる。

仏像の中でも甲冑を身にまとっているのは、この天の仏像たちがほとんどだ

梓

 

「兜跋毘沙門天像」

(東寺、京都)

さきほど出てきた弁財天の夫である毘沙門天

同じく、七福神の1柱でもあるね。

梓
さっきも出てきた、毘沙門天ですね。

こうやって改めて見てみると、慣れ親しんでいた仏の呼び名にも、「〇〇天」と入っているなあと気づきますねえ。

毘沙門天を始めとした四天王は、仏教世界の中心にある「須弥山(しゅみせん)」の四方を守っているとされている。

「持国天」「広目天」「増長天」「多聞天」が「東西南北」の順番に並んでいるよ。

梓
「東西南北」に「ジ・コウ・ゾウ・タ」が並んでいるわけまぼねえ。
四天王をまつっているお寺に行くときは、チェックしてみようかしらねえ。

多くが怖い顔をしている

仏敵を追い払うことを目的としているところに由来して、

こわもての仏が多いのも、天部の特徴だ。

梓

金剛力士

「金剛力士像」

(東大寺、奈良)

 

ひょええ、怖い顔マボよ~退散マボ~
あ、なるほど、仁王像も、天の仏像というわけマボねえ。
仁王とも呼ばれる金剛力士は、もともとはインド神話の戦いの神である、インドラに由来する。

手には、インドラの武器「ヴァジュラ」に由来する「金剛」を握っているんだ。

梓

 

大黒天

「大黒天像」(神田明神、東京)

wikipedia「大黒天」より 2022年6月5日閲覧)

 

こちらは、またまた七福神の1柱、大黒天。
梓
定番の、俵に乗って打ち出の小槌と福袋を持っているスタイルマボ。

それにしても、情けない顔マボねえ、親近感感じるマボよ、ぷぷぷ。

ところが、こんな顔の大黒天もいる。
梓

 

「木造大黒天立像」(観世音寺、福岡)

福岡県文化財データベースより 2022年6月5日閲覧)

 

 

ふ、不機嫌そうマボ……こんな大黒天、見たことないマボよ、は、はってはて……。
それは、大黒天の由来するインドの神が、暗黒の破壊神だったからだ。
梓

「マハーカーラ」

wikipedia「大黒天」より 2022年6月5日閲覧)

 

ぎゃっ……何マボか、この、
「ぼくのかんがえた さいきょうの てき」
みたいな絵は……。
大黒天のルーツである「マハーカーラ」は、インド神話の破壊神であるシヴァの別名であり、

暗黒の中に住み、死を司っている

梓
やっぱり、小学生が考えた設定みたいマボ……。
というわけで、大黒天は本来、この「暗黒」に由来していた。

 

ところが、日本に伝来されたとき、

「因幡の白兎」をはじめとした出雲神話に登場する大国主神(オオクニヌシノカミ)と同一視された。

 

「大黒」と「大国」の音読みの連想というわけだね。

梓
それで、手の付けられない凶悪な大黒天は、大国主神と融合して、優しくなったわけマボねえ。

なんだか、『ドラゴンボール』の魔人ブウみたいなエピソードまぼ。

「大国主と兎」

wikipedia「因幡の白兎」より 2022年6月5日閲覧)

 

 

こうやって見ると、袋のあたりなんかに、大国主と大黒天のシルエットの共通点があるマボねえ。
よく聞く名前の「〇〇天」の仏さまの由来がわかったり、

日本に入った後の移り変わりを知ったりできて、

楽しい回だったわねえ、はってはて♪

まとめ

  • 古代インドの神々が仏教に取り込まれ「天部」と呼ばれる仏となった
  • 天部には、性別の違いもなく質素な格好の仏たちに比べ、女神に由来する女性の仏や、甲冑をつけた仏がいる。
  • 日本に伝来した後も、さまざまな変遷を辿った仏も

 

参考資料

  • エイ出版社編(2018)『天部像のすべて』 (エイ出版社)

 

天部像のすべて (仏像が好き!) [単行本] エイ出版社編集部9784777951420【中古】

価格:1,297円
(2022/6/5 21:28時点)

みんなでシェアしてくれ~はってはて~

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です