
今回のテーマは……。
この2人は、2025年に開かれた三菱一号館美術館の企画展でも取り上げられたんだ。
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出所:三菱一号館美術館「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」
(2025年9月20日確認)。

なんとなく名前は聞いたことがありますが……。
どんな話を聞けるのか楽しみです。
目次
ルノワールとセザンヌ ― 柔らかさと構築性の対比
ルノワール:柔らかく親しみやすい光

ピエール=オーギュスト・ルノワール
比較的下層の手工業者の家庭で育つことになる。
幼い頃から絵を描くことに興味があったルノワールは、若い頃にパリに引っ越し、
モネやシスレーら「印象派」を名乗る仲間と出会うことで、
明るい色や軽やかな筆使い、輪郭の曖昧さを取り込んでいった。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』
(オルセー美術館、パリ)

なんだか明るくて楽しいけど、優美さもある感じねえ。
輪郭線はあえて曖昧にし、
人物同士や背景の自然が溶け合うように描かれており、
絵全体から幸福感が漂っているよね。
絵を見るだけでなんだか楽しくなってくるのは、ルノワールの魅力だよね。。
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セザンヌ:形を積み上げる探求

ポール・セザンヌ
南フランスのエクス=アン=プロヴァンス出身。
父親は銀行業を営む裕福な家庭で、経済的に安定していたものの、画家になることには家族の反対もあった。
セザンヌもパリに行き、印象派の画家たちや風景画家の影響を受ける。
だけど、自分の道を模索する中で、印象派を離れていき、
形と色の構造を重視する方向に進む。
父親との確執や、画壇での評価の遅れなどを経験しながら、
南仏の田園風景や果物など静物を繰り返し描くことで、
自分のスタイルを育てていった。
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実直で硬質な雰囲気が漂っているマボ……。

ポール・セザンヌ『リンゴとオレンジのある静物』
(オルセー美術館、パリ)
一つひとつの果物やテーブルを幾何学的に捉え、
積み木のように安定感を持たせて描かれている。
色彩は落ち着いているけど、
色の重なりで形が「ずっしりとそこに存在する」ことを強調している。
光や瞬間の雰囲気よりも、
対象の本質をどう構築的にとらえるかに関心が向けられてるんだ。
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ふわふわした感じはあまりないですねえ。
風景や静物をただ写すのではなく、
その構造を画面に組み込むことを追求した。
色の積み重ねや複数視点、
遠近法の曖昧さなどを作品に取り入れ、
「ポスト印象派」と言われる独自の道を切り拓いたんだ。
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ざっくりまとめますと……。
- ルノワール:やさしい空気感
……柔らかく、楽しく、感覚的。 - セザンヌ:どっしりとした形の探求
……堅実で、探求的、構築的。
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ルノワールの「柔らかさ」を感じさせる作品たち
それぞれにやわらかであたたかな印象があふれているよ。
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『桃』

桃のふんわりした質感が繊細に描かれています。
まるで触れられそうな柔らかさが魅力的ですねえ。

『チューリップ』
背景も滲むようなタッチでまとめられているのがまた、優雅な雰囲気になっているよ。
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『2人の少女の肖像』

親しみとやわらかさを感じさせる心あたたまる一枚です。
静物画で見るルノワールとセザンヌ
まずは、静物画から。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール『花瓶の花』
(オランジュリー美術館、パリ)

あいかわらず、色彩が優美ねえ。

ポール・セザンヌ『青い花瓶』
(オルセー美術館、パリ)

ここまでルノワールに目が慣れていたから随分と印象が変わりました。
色彩と形の構成で静物に存在感を与えている。
対象の構造を視覚的に探求する姿勢がうかがえるね。
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人物画で見るルノワールとセザンヌ

ピエール=オーギュスト・ルノワール『ピアノの前の少女たち』
(オルセー美術館、パリ)

楽器と調和している優雅な情景。
背景は控えめで、少女たちのしなやかな動きと表情に自然と視線が集まるよね。
では、今度はセザンヌを……。
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ポール・セザンヌ『庭のセザンヌ夫人』
(オランジュリー美術館、パリ)

構造的な構図と筆致が物質感と立体感を強調し、
抑制された緊張感が漂っているね。
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ルノワールの「柔らかくない一面」
そんな中、最後は、
「あれ、ルノワール?」
と思えるような1枚を。
観客席の桟敷席に飾られた花束を描いた静物画だ。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール『桟敷席の花束』
(オランジュリー美術館、パリ)

光のふわっとした柔らかさが薄い感じがするよね。
これにはいくつか理由が考えられる。
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- 花束の部分の細かい筆使い
……輪郭をぼかすというよりも、形をはっきり感じさせるような筆の勢い - 構成の省略と単純化
……「桟敷席」「赤い椅子」など必要最小限の要素のみで構成され、
花束と周囲の環境が混ざり合うあいまいさが少ない。
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本人が違った筆致を描いたときにも「なんでかな?」と考えやすくなりますマボねえ。
まとめ
- ルノワールの柔らかさは、滲むような光・色彩と滑らかな筆致のおかげ。
- セザンヌの硬質さは、色面と構造的筆致から生まれている。
- 『桟敷席の花束』のように、ルノワールが硬質で緊張感ある構成も見せていたことも。
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