どうしてスペインでだけヘススさん=ジーザスさんがいるのか、という話を続けています。
【イエスさん①】英語では珍しい|なぜスペインでは「人名」になるのか?
「イスラーム勢力がイベリア半島を支配していた時代があったから、その影響があるんじゃないのか」
という話で終わっていた。
今回は、その続きから。
「イーサーさん」がJesusのタブーを弱めた?
イスラームでは、ヘスス=イーサーは「神」ではなく、あくまで「預言者」
↓
イベリア半島でイスラーム統治が始まる。
↓
イベリア社会で、「イエスに対応する名前」が普通の人間につけられる。
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「Jesusは人間には付けない」という聖名タブーが、長期間の文化接触のなかで弱まっていく。
↓
イスラームが去った後のキリスト教社会のイベリア半島でも、ヘススが人名として定着する。
同じことを考えている研究者がいた!

※以下、筆者和訳。
本論文は、子どもに付けることのできるさまざまな名前の中で、
スペイン語圏及びポルトガル語圏だけが「Jesus(イエス)」という名前の使用を確認できる地域である
という事実に着目し、イベリア半島における「Jesus」という名前の分布を扱うものである。この現象は、いわゆるレコンキスタ(おおよそ720~1492年)※1、
すなわちアル=アンダルス王国(アラブ化されたイベリア)の段階的な崩壊という歴史的過程の中に位置づけて考察される。イエスという聖なる名を人名として使用することに対するタブーについて、
他のキリスト教の伝統との比較を通じて検討し、
社会言語学および言語人類学のアプローチを用いて、
このタブーがどのように「中和(neutralization)」※2 されたのかを説明する。さらに、同じ理論的枠組みと歴史学的方法を用いて、
近世及び近現代における「Jesus」という名前の状況についても考察を展開する。
※1 筆者注:レコンキスタとは、キリスト教勢力がイスラーム支配下のイベリア半島の取り返していく一連の再征服。
※2 筆者注:中和とは、Jesusを一般人の名前として使うことへの抵抗感やタブーが、次第に弱まっていくこと。

【スペインの歴史を簡単に】③レコンキスタ╿国土回復運動、それとも十字軍?
レコンキスタが気になる方は、こちらの記事もどうぞ!
ところが、この論文には大きな問題がある。
肝心の「中世にJesúsと名付けられた人」のデータが、論文中にほとんどない。
中世は人口記録そのものが乏しいため、レコンキスタ期にJesusという名前が実際に使われていたことは実証できない、とね。
したがって著者自身も、一連の説明を、現時点では実証されていない仮説として位置づけているんだ。
仮説としてはとてもきれい。
そう、仮説としては……。
と思ったら……?
スペイン語圏におけるJesúsという人名の歴史を調べた興味深いブログ記事がある。
En el nombre de Jesús(2026年9月20日確認)
レコンキスタが終わったずっと後ということマボか?
とはいえ、もしJesúsという人名がスペインで本格的に増えるのが18~19世紀なのだとすると、残念ながら、仮説は成り立たない。
なぜ19世紀になって、スペイン語圏でJesúsという名前が増え始めたのか?
という謎について考える必要があるね。
例えばスペイン語圏で、18~19世紀に……
☑ イエスに対する信仰に変化があった?
☑ Jesúsも含め、名付けの流行に変化があった?












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