【三十三間堂②】二十八部衆とは?│千手観音を守る多彩な護法神とインド神話

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回は、「千体千手観音」で名高い京都・三十三間堂の記事の続きです。

前回の記事では、ずらりと並ぶ観音像の前で圧倒されたマボねえ。

 


 

 

 


 

今回の記事では、千手観音以外の仏像を見ていくよ。
梓
1001体も千手観音の仏像がいるのに、ほかにもまだ像があるマボか。
千手観音の足元にずらりと控える
「二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)」こそ、
観音さまを守り支える精鋭チーム。

今日はその二十八部衆を紹介していくよ。

梓

二十八部衆とは?

二十八部衆は、『法華経』などの仏典に登場する観音菩薩を助ける護法神たちのことだ
梓

古代インドに起源をもつ神々で千手観音に従って仏教と、その信者を守るとされます。

二十八部衆の尊名や像形は、経説により違いはありますが、当院の諸仏は一具として揃っている希な作例です。

いずれも檜材の寄木造り、玉眼を用いた彩色像で、それぞれが迫真的な表情や姿態を見せる鎌倉彫刻の傑作です。

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

二十八部衆では、インドの神々や中国の仙人、仏教的に再解釈された夜叉や龍王などが合流しているんだ。
梓
こりゃあ、仏教界のアベンジャーズまぼねえ。おらおら~。
ちなみに、仏像は
①如来
②菩薩
③明王
④天
という4つの種類に分かれるけど、
二十八部衆は④天に属する。

天と呼ばれる仏像たちは、仏教におけるボディガード集団。

インド神話を中心とした神々が仏教に取り込まれ、天部になったんだ。

梓
如来・菩薩・明王・天について知りたい人は、

こちらの記事をチェックするマボよ~

 

二十八部衆の紹介

ここからは二十八部衆から一部を抜粋して紹介するよ。

ちなみに、2018年7月、学術的調査に基づき、この二十八部衆像及び風神・雷神像について、配置変更と尊名(呼び名)の一部見直しが行われた。

過去の本に載っている尊名とは異なる場合もあるから注意してね。

梓

金剛力士

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

こりゃ、金剛力士マボか?
ヒンドゥー教の神であるヴィシュヌ神が、仏教に取り入れられたのが那羅延堅固(ならえん けんご)。

寺院に立つ金剛力士と同一視されることもあり、
那羅延天堅固に由来する金剛力士像が作られることもあるんだ。

もう一体の「密跡金剛(みっしゃくこんごう)」とペアになって仁王像をなしていることも多い。

梓

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

四天王

東西南北を守る仏像たちは併せて四天王と呼ばれる。

四天王としては持国天・広目天・増長天・多聞天という呼び名が有名なんだけど、三十三間堂では別名の尊名で呼ばれている。

梓
  • 東:提頭頼吒王(だいずらたおう)=持国天
  • 西:毘楼博叉(びるばくしゃ)=広目天
  • 南:毘楼勒叉(びるろくしゃ)=増長天
  • 北:毘沙門天(びしゃもんてん)=多聞天

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

インド神話のヒーロー

帝釈天と梵天はそれぞれ、インド神話におけるインドラとブラフマーをモデルにしている。

ヒンドゥー教では、
インドラは戦いの神として多くの物語に登場するし、
創造神ブラフマーはヴィシュヌ神やシヴァ神と共に三大神に数えられる。

しかし、仏教では、護法神として取り扱われているんだ。

梓
  • 帝釈天王(たいしゃくてんおう)

 

  • 大梵天王(だいぼんてんおう)

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

戦いの神や三大神がモデルなのに、仏教に取り入れられると何とも穏やかな姿マボねえ。

龍王と金毘羅

インド神話では「ナーガ」と呼ばれる存在がいる。ナーガとは、コブラなどの蛇を意味する言葉だった。

このナーガが、東アジア・東南アジアへ仏教・インド文化が伝わる過程で、
「蛇→大蛇→龍・水神」
と要素が変容していった。

結果、日本においても、「龍王(りゅうおう)」という訳語・表現が使われるようになったんだ。

梓
  • 難陀龍王(なんだりゅうおう)

 

  • 娑伽羅龍王(さがらりゅうおう)

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

それぞれ、頭に竜がひっついているマボねえ。
かっちょいいじゃないのよ~。
水と動物つながりでは、金毘羅(こんぴら)も。

元々はガンジス川のワニの神「クンピーラ」に由来するんだけど、
水の神として、日本においては海上安全や豊漁とも結びつきが強いね。

梓
  • 金毘羅(こんぴら)

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

そのまんま鳥

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

にょわああ。
そのまんまの鳥が出たマボ!
これまではなんだかんだ、蛇に由来する、ぐらいだったのにい
これは迦楼羅(かるら)と呼ばれる。
インド神話の鳥の王であるガルダに由来するんだ。

ちなみに、不動明王の背中では炎が燃えているのが定番だけれど、
この背後の炎は、迦楼羅が羽を広げた姿に似ていることから「迦楼羅焰」(かるらえん)」と呼ばれるんだ。

梓

 

戦いの神

最後は阿修羅(あしゅら)。
戦いの神ということもあって、ここでは引き締まった表情と緊張感で表現されている。

興福寺の優しい表情の阿修羅が有名だけれども、
多くの阿修羅像はこのような厳しい顔をしているんだ。

梓

出所:蓮華王院 三十三間堂「二十八部衆像」(2025年11月4日確認)

 

こうして見ると、二十八部衆は多彩な顔ぶれですねえ。

観音さま千体だけでも圧巻なのに、さらにこんな頼もしい仲間たちが守ってたとは!

筋肉の彫り込み、玉眼のきらめき、衣のひるがえりなど、鎌倉彫刻の技がぎっしり詰まった群像こそ、三十三間堂の真骨頂。

観音さまの足元の二十八部衆もじっくり眺めてみれば、きっとお気に入りの「推し護法神」が見つかるはずだ!

梓

まとめ