釈迦如来
(飛鳥寺)
ポーズの意味とかポーズの種類とかよくわからなくなるのよねえ、はて。
目次
「印」(いん)っていったい何ですか
印相ともいう。
その仏像を象徴する手の形だ。
もともと釈迦が座禅(瞑想)をしたり、
説法をしたりするときのしぐさから生まれたもので、
仏像には釈迦の五印という五種類の基本的な印がある。
……また、七世紀ごろに興った密教では印は単なる身振りではなく、
教理そのものを表すと考えられるようになったのである。
それで密教では印が単なる自然な身振りではなく野球のサインのようなもので複雑で多様な形を発展させた。
瓜生中(2007)
『知っておきたい仏像の見方』
(角川ソフィア文庫)
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降三世明王
(仁和寺)
※九州国立博物館 特別展「京都・仁和寺観音堂 ── 千手観音像とその仲間たち」より
(2018年7月3日〜9月2日)
定番の印から
定(じょう)印
阿弥陀如来像
(高徳院)
深い瞑想に入っている様子
を表している。
施無恐(せむい)印・与願(よがん)印
たとえば、奈良の大仏。
東大寺盧舎那仏像
(東大寺)
「おそれることは無いですよ、リラックスしていらっしゃい」
ぐらいの意味。
「願いを叶えてあげますよ」ぐらいの意味。
東南アジアはどっちを向いても降魔(ごうま)印
「触地印」
ともいう。
右手をぶらんと地面に垂れているポーズだ。
菩提樹の下に座った釈迦は、しだいに瞑想を深めていった。
そして、あと少しで悟りの境地に至ろうとしたとき、悪魔たちがやって来て邪魔をしたという。
……そのとき、釈迦は勇気を奮い立たせて定印を解き、右手の人差指を地に着けた。
すると、地の神が加勢してくれて悪魔は退散し、同時に悟りの境地に達したという。
その瞬間を、
悪魔を降して道を成就したことから「降魔成道(ごうまじょうどう)」といい、
そのときの姿をとらえたものが降魔印だ。
瓜生中(2007)
『知っておきたい仏像の見方』
(角川ソフィア文庫)
タイ、
ミャンマー、
カンボジア
といった国だね。
上座部仏教について、詳しくはまた今度。
シュエダゴン・パゴダ(ヤンゴン、ミャンマー)
た、退散~。
五大明王たちの印
まずは大威徳(だいいとく)明王。
大威徳明王像
(「醍醐寺霊宝館」より)
両の中指だけを立てて、合わせている。
檀荼(だんだ)印といって、鞭を表しているんだ。
降三世明王像
(「醍醐寺霊宝館」より)
胸の前で両手の小指を絡めたら、腕をX形に交差させるだけ!
さあ、写真に写るポーズはこれで決まり!
まとめ
- 「印」は、仏像のさまざまな手つきのこと。
- 瞑想の「定印」、リラックスしなさい・願いを叶えますよの「施無畏印・与願印」は、定番の印。
- 東南アジアは「降魔印」が多い。
- 密教の五大明王は複雑な印を示す。
「曼荼羅」と「仏」シリーズ
これでとっつきやすくなるはず……マボ!
- 密教の2つのマンダラ╿胎蔵曼荼羅/金剛界曼荼羅
- 大日如来/金剛薩埵|マンダラの中の密教の仏たち①
- 不動明王/五大明王|マンダラの中の密教の仏たち②
- 【印相/仏像】定印/施無畏印/与願印……如来や五大明王の結ぶ「印」とその種類
- 【如来/菩薩/明王/天】今日からわかる仏像/種類/見分け方
参考文献
- 瓜生中(2007)『知っておきたい仏像の見方』(角川ソフィア文庫)
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