グスタフ・クリムト
『パラスアテナ』
(ウィーン市立歴史美術館、ウィーン)
グスタフ・クリムト
『ユディトⅠ』(部分)
(ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館、ウィーン)
グスタフ・クリムト
の作品だ。
今回はその黄金とあでやかな世界について見ていくよ。
女たちを描いた画家
グスタフ・クリムト
『エミリエ・フレーゲの肖像』
(ウィーン市立歴史美術館、ウィーン)
そこには、奔放な性生活を送った彼ならではの観察眼があった。
「女たちを描いた画家クリムト」ークリムトが描いた女性の肖像画は、いずれもクリムト本人の性的冒険に関する噂や憶測、ひいてはその証拠など、様々なエピソードが隠されている。
「いわゆる”朝の贈り物”として芸術に捧げられた女性抜きに、クリムトという人物は語れない。
彼女たちは咲き乱れる花のデコレーションごとく、クリムトの作品を飾り立てる。
それはウィーンの女性たちで、街の娘であり、上流階級の婦人であり、またユダヤ人女性であり、貴族の女性であった。
クリムトはこうした女子たちを知り尽くし、いわばその芳しい香りの中に生きていた。
そして近代ヨーロッパの女性が見出した彼女たちにとっては数少ない美の布告者となった」
アルフレッド・ヴァイディンガー他編(2016)
『グスタフ・クリムト 女たちを描いた画家』
(Grasl Druck & Neue Medien)
でも、人を惹きつける魅力があったのかしらねえ。
同じウィーンの画家であるエゴン・シーレ
にも影響を与えたと言われているね。
エゴン・シーレ
『左足を高く上げて座る女』
(プラハ国立美術館、プラハ)
ウィーン分離派
ウィーンはわかるけど、分離派。
何から分離したマボか。
クリムトはその中心人物だったんだ。
1897年、グスタフ・クリムトは他の芸術家たちとともに保守的な美術家協会を脱退、セセッシオン(分離派)の名前で新たな芸術家団体を結成しました。
そして1898年には、同名の建物も完成したのです。
オーストリアの作曲家ベートーヴェンにインスピレーションを受けた、
とんでもないスケールの作品を1902年の「ベートーヴェン展」に際して展示している。
全長30メートル以上にもなる絵画の連作『ベートーヴェン・フリーズ』を作り上げたんだ。
グスタフ・クリムト
『ベートーヴェン・フリーズ』「敵対する勢力」(部分)
(ウィーン分離派館、オーストリア)
……この展覧会はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに捧げられていました。
クリムトの壮大なフリース(帯状装飾)が、入り口を入るとすぐのホールで訪問者を迎え、ベートーヴェンへの賛辞の始まりとなったのです。
この豪華な装飾模様のシンフォニーは、幅34m、高さ2mあり、クリムトが、ベートーヴェンの「第九」とリヒャルト・ワーグナーの第九解釈を表現したものでした。
とんでもないことをするマボねえ。さすが、過去から分離しているだけはあるわねえ。
少女たち
グスタフ・クリムト
『ヘレネ・クリムトの肖像』
(ベルン美術館、ベルン)
グスタフ・クリムト
『メーダ・プリマヴェージの肖像』
(メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
でも、どこか大人びた面影もあるわねえ。
少女たちは優しい目線で見てたのかしらねえ。
まとめ
- クリムトは多くの女性たちとの浮名を流しながら「女たちを描いた画家」として妖艶な女性の美を表現していった
- 一方で、少女たちを優しい視線で描いた絵画も
- 「ウィーン分離派」の旗手として新時代の絵画を牽引した
参考資料
- 『クリムト展 ウィーンと日本 1900』(2019、朝日新聞社)
- アルフレッド・ヴァイディンガー他編(2016)『グスタフ・クリムト 女たちを描いた画家』(Grasl Druck & Neue Medien)
- 大塚国際美術館編(1998)『西洋絵画300選』(有光出版)
- 城一夫(2012)『常識として知っておきたい「美」の概念60』(パイインターナショナル)