今回は、マンダラについて見てきています。
目次
大日如来
運慶、『大日如来像』
(円成寺、奈良)
王者の風格マボ。
如来は基本的に「出家した釈迦の姿」をモデルにしているから質素な服装なんだけど、
大日如来だけは豪華な服装を身にまとっている。
『大日如来坐像』(根津美術館、東京)
ゴージャスな雰囲気マボねえ。
奈良の大仏も毘盧遮那仏だね。だけど、こっちは質素な格好をしている。
インド神話でも、「これはシヴァ神が変化した姿で……」というように、偉い神さまが別の姿かたちで現れることが多いけど、
密教もこの考え方を取り込んだ、またはこの考え方に対抗している節があるよね。
金剛界五仏/五智如来
東寺「立体曼荼羅」より(2021年5月24日閲覧)
別名、五智如来だ。これは前回の記事でも書いたね。
大日如来を中心に、東西南北それぞれに如来が配置している。
今回は、この東西南北の仏を具体的に見ていこう。
阿閦(あしゅく)如来
瞑想の末にあらゆる煩悩を克服して悟りに達した「不動」の境地に由来すると言われている。
なので、修行中に悪魔の誘惑を退けた伝説に由来するポーズの「退魔印」という印を結んでいるんだ。この印は、右手の指先で地に触れることから「触地印」(そくちいん)とも呼ばれる。
宝生(ほうしょう)如来
『諸尊図像鈔』「宝生如来」(国立国会図書館)
阿弥陀如来
阿弥陀如来像(高徳院)
いくら大日如来が宇宙の中心といっても、大衆に抜群の人気を誇る阿弥陀如来だから、五仏にも採用されたというわけだね。
だけど、密教では脇役の仏の1つだから、存在感は少し落ちるね。
不空成就(ふくうじょじゅ)如来
『諸尊図像鈔』「不空成就如来」(国立国会図書館)
釈迦如来と同一視されることも多い。
でも、阿弥陀如来と一緒で、大日如来が中心だからこの如来も脇役かしらねえ。
金剛界五仏の中でも不空成就如来は一番格下なんだ……。
胎蔵五仏
胎蔵曼荼羅中台八葉院
(wikipedia「胎蔵界五仏」より 2021年5月24日閲覧)
ただ、金剛界五仏が密教の中心的な仏であるのに対し、胎蔵五仏はそれほど目立たない。
マンダラにキャラが多すぎた弊害マボよ、はて……。
金剛薩埵(こんごうさった)
『諸尊図像鈔』「金剛薩埵」(国立国会図書館)
ところでマンボウちゃんは如来と菩薩の違いは覚えているかな。
「覚りが約束されているんだけど、現世に留まって人々を救おうとしている」のが菩薩。
金剛薩埵は、大日如来の後継者でありながら現実世界に留まっている菩薩、といったところかな。
さて、ここまでは大日如来と金剛薩埵を中心に見てきたね。次回は、「明王」について見ていこう。
まとめ
- 大日如来は密教における仏の中の仏
- 金剛界五仏と胎蔵五仏それぞれが、大日如来を中心の如来たちで構成される
- 金剛薩埵は、大日如来の後継者でありながら現実世界に留まっている菩薩
「曼荼羅」と「仏」シリーズ
これでとっつきやすくなるはず……マボ!
- 密教の2つのマンダラ╿胎蔵曼荼羅/金剛界曼荼羅
- 大日如来/金剛薩埵|マンダラの中の密教の仏たち①
- 不動明王/五大明王|マンダラの中の密教の仏たち②
- 【印相/仏像】定印/施無畏印/与願印……如来や五大明王の結ぶ「印」とその種類
- 【如来/菩薩/明王/天】今日からわかる仏像/種類/見分け方
参考資料
- 小峰彌彦 (2016)『図解 曼荼羅入門』(角川ソフィア文庫)
- 知的発見!探検隊(2013)『あらすじとイラストでわかる密教』(文庫ぎんが堂)
- 正木晃 (2012)『空海と密教美術』(角川選書)
- 頼富本宏 (2011)『すぐわかる マンダラの仏たち』(東京美術)
- 頼富本宏 (2014)『密教とマンダラ』(講談社学術文庫)
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