バーベキュー=「水分」+「柔らかさ」?|『バーベキュー最強決戦』が教えてくれたこと

こんにちは、はてはてマンボウです。

今回は……。

Netflix「バーベキュー最強決戦!」

(2023年7月1日確認)

『バーベキュー最強決戦』、はて。

これ、Netflixの番組かしら。

実は私も、この番組を見るまでは、アメリカのバーベキューのことなんて知らなかった。

だけど、アメリカのバーベキューは、私たち日本人が知っているバーベキューとは全然違うということが分かるんだ。

たとえば、一般的に「肉」のことを「プロテイン」と呼んだりとかね。

梓
単に「タンパク質」というだけではないんですねえ、はてはて。
英語表現だけではなく、番組の中で自然と触れられていることには、「?」と思うこともたくさん。

というわけで、今回は番組を通して出てくるキーワードから、アメリカのバーベキューに関する知識を見ていこう。

梓

 

単なる「グリル」ではない!

 

改めて動画を見ると、お腹が空いてくるわねえ。

マンボウちゃんも、お肉をちょろりんと。

動画を見ていて驚くのは、肉の塊が何度も出てくるということだ。

このたった90秒のトレーラーでも、まな板の上に肉の塊が降ってくるシーンがわんさかある。

梓
たしかに!
そして、そんな肉の塊を軽々運ぶ参加者のみなさん……。

マンボウちゃんには真似できないマボ……。

おそらく、この国には「薄切り肉」という概念がないはずマボ。

たしかに、「厚めの肉と薄めの肉をそれぞれ用意した」というシーンで、薄めの肉が厚さ2センチぐらいあったりするからね。

さて、そんな肉の塊の調理について、
『アメリカンBBQガイドブック』によると……。

梓

はて!

突然のガイドブック……どこから持ってきたマボか。

アメリカンビーフ&アメリカンポーク公式サイト(米国食肉輸出連合会)を見れば、誰でもアクセスできる。

以下、今回の記事で出てくる引用文や写真は全て『アメリカンBBQガイドブック』を参照したものだよ。

梓
さて、肉の塊について見ていくと……。
梓

バーベキューとは

何をもって「本物」のバーベキューと定義するかについては地域によって異論があるが、バーベキューにはいくつかの例外を除いてはほぼ世界共通といってよい特徴がある。

まず、最初に留意すべき点は、グリリングとバーベキューを混同している人が多い

これは余りによくあることなので、バーベキューと聞くとグリルで焼いた肉が連想されるほどである。

グリリングとは、小さめの切り身の肉を高温直火で手早く焼くことをいい、より高級な肉を使うことが多い。

一方、本物のバーベキューは「低温でじっくりと」という表現を特徴とする。

肉は200~250̊F(93~121̊C)の低温で長時間かけて焼く。

肉もずっと大きく、より安いものであることが多い。

スペアリブは通常6~8時間かけて焼く。

より肉塊の大きい牛のブリスケット(※)や豚の肩肉などは12~14時間かけて焼くこともある。

このような低温で長い時間をかけて調理すると、少しずつ脂肪が落ち、コラーゲンが分解されていくため、しっとりとジューシーで柔らかい肉に焼き上がる。

※ブリスケット

牛肉のうち、前脚の内側にある肩ばら肉。堅めの肉質。

アメリカのバーベキューの定番部位の1つ。

 

何度も出てくる「本物の」バーベキューという言い回しから、バーベキューに対する並々ならぬ思い入れが感じられるマボねえ……。

そして、12時間も焼くとは!

食べている時間どころか、寝ている時間よりも焼いている時間の方が長いマボ。

『バーベキュー最強決戦』では、1回のコンペティションがだいたい6時間くらいなんだけど、参加者たちが口々に、
「たった6時間なんて!」
と驚いているシーンがある。

見ているこっちとしては、「6時間でも長すぎでしょ!」ってなるところだけど、本物のバーベキューのためには短すぎる時間というわけだ。

梓

Moist and Tender

『バーベキュー最強決戦』を見ていると、審査員が真っ先に言及するポイントは……。
梓
そりゃ、「味」マボ!
たしかに、味も大事だし、審査員も味に言及している。

だけど、毎回最初に言及するポイントは、MoistとTender

すなわち「ジューシーさ」と「柔らかさ」なんだ

梓
そんなに食感を大事にしているなんて、意外マボねえ。
さて、改めて『アメリカンBBQガイドブック』の冒頭「バーベキューの歴史」の章を見てみると……。
梓

バーベキューがアメリカ大陸の主に南方に広がるにつれて、地方の味や好みが加えられていった。

今日、「本物」のバーベキューとは何なのか、また、どのように調理し、味付けを行い、サーブするのが適切な方法なのかが大きく議論されている。

ソースの適切な使い方やそれ以前にソースを使うべきなのかどうかさえも大論争となっている。

地域によって調理に違いはあるが、アメリカのバーベキューにはある共通の伝統がある

それは、比較的安価で脂肪の多い肉や時には固い肉を使い、時間をかけてじっくりと調理することで脂身を落とし、柔らかくジューシーに仕上げること。

高級肉を買う余裕がなく、手に入るものを何でも食べられるように工夫してきた南部の貧民がバーベキューを発達させたのである

なるほど、アメリカのバーベキューの負っている歴史が、ジューシーさと柔らかさを強調させるようになっているわけマボねえ。
ちなみに、肉の中の水分を増やすために、調味料を注入することがある。

おそらく、日本の一般のご家庭の台所には、このような注射針は置いてないと思うけど、
『バーベキュー最強決戦』では何度も見られるシーンだ。

梓

 

科学を制する者はバーベキューを制す!?

『バーベキュー最強決戦』を見ていると、「スモークリング」という単語が出てくる。

『バーベキュー最強決戦』では、このように分かったような分からない用語が何の解説もなくよく出てくるんだけど、ここは知ったかぶりをせずに『アメリカンBBQガイドブック』を確認しよう。

スモークリングは、「バーベキューの科学」の章で紹介されている。

梓

スモークリングはどうやってできる?

スモークリングの形成には、燃焼過程における薪中の窒素と酸素との結合が関与する。

その結果、燻煙中の気体の一つである二酸化窒素(NO2)が形成され、水分を含んだ肉表面に吸収される。

ここで、ミオグロビンという色素と反応する。

ミオグロビンは、肉特有の色を形成する色素である。

食肉の色の濃さや、赤色、紫色、褐色などの色調は、それぞれミオグロビンの量、形態及び状態によって決まる。

バーベキューで目指すピンク色のスモークリングを形成するには、二酸化窒素が水分の多い肉表面に吸収され、亜硝酸となって肉表面から内部に向かって浸透し、ミオグロビンと反応しな
がらピンク色のリングを形成しなければならない。

窒素は、薪が燃焼する(炎が出る)ことによって生じる気体に由来するため、オーブンや電気燻煙器ではこのような現象は起こらない

すまんぼうけど、ミオグロビンの辺りで、文章を読む限界を迎えたマボ……。
まあ、ともかく、薪を使って肉を調理することで、このようなピンク色のリングができる、だから「スモークリング」というわけだね。

『バーベキュー最強決戦』では、時折、科学についての知識が重要視されることがある。

どうやったら熱が滞留するかを知っている参加者が、競技を有利に進めているシーンもよくある。

梓
いまさらなことを言うマボけど、
日本人なら「バーベキューなんて誰でもできそう」って思えるのに、
これがちゃんと競技として成立している時点で、凄みを感じさせられるマボねえ……。
バーベキューの達人は、「ピットマスター」と呼ばれ、一種の職人として尊敬されるようだからね。

バーベキューに対する食文化の違いを考えさせられるよね。

さて、バーベキューへの興味がわいた人は、ぜひ、『アメリカンBBQガイドブック』を片手に『バーベキュー最強決戦』をご覧ください!

梓

 

まとめ

  • アメリカでは、「グリル」と「バーベキュー」は別物。バーベキューでは、肉の塊を何時間もかけて調理する。
  • 「味」に加えて、「ジューシーさ」「柔らかさ」といった口どけが重視される。
  • バーベキューの達人は「ピットマスター」と呼ばれる一種の職人として、尊敬されている。