今回は奈良県の山奥のお寺・室生寺のお話の続きです、まぼ。
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金堂と釈迦如来像
室生寺にはたくさんのすばらしい仏像が安置されているんだ。
堂内には釈迦如来立像、十二神将立像などが安置されています。※
9世紀なかばごろの創建とされ室生寺の中で最も古い建築物の一つ。
江戸時代、徳川5代将軍綱吉の生母、桂昌院が深く仏教に帰依し、
室生寺の堂塔の修理、復興に力を尽くし、この時期に金堂も大改修がなされました。
だけど、もともとは薬師如来としてまつられていたのでは、とも言われている。
釈迦如来立像
美しいお姿の金堂のご本尊は、仏教の開祖であるお釈迦様が悟りを開かれ、永遠に衆生を救済する仏になられた釈迦如来です。
深い瞑想の表情をされた室生寺の釈迦如来はもともとは古式の薬師如来像であったと考えられています。
平安時代初期に造立され、華やかな文様が描かれた光背も制作当初のものです。
如意輪観音菩薩
如意輪観音坐像
女性的な優しさに満ちた表情を浮かべるこの如意輪観音は日本三如意輪の一つ。
如意宝珠と輪宝を持ち、延寿、安産に功徳があるとされます。
一面六臂のこの菩薩さまは、あらゆる願いを叶える『如意宝珠』と、
釈迦の教えを象徴する『法輪』を持つことに名前の由来がある。
身体が柔らかいのねえ。
また、頬に手を当てている仏さまは、人々を救う方法を思案しているんだ。
地蔵菩薩
地蔵菩薩立像
でも、格好はほかの菩薩と違って地味ねえ。頭には飾りがなくて髪をそっていますし。
仏教では、将来、弥勒如来という如来が現れて、人々を救うと言われている。
「そんな長い時間待てない!」
というみなさんのご希望にお答えして生まれた菩薩の1つが、地蔵菩薩というわけだ。
十一面観音菩薩立像
十一面観音菩薩立像
上品で端正な顔立ちには女性的な優しさを感じますが、
その体躯はしっかりとして引き締まっています。
本尊の本来の脇侍として造られたものと考えられています。
八重蓮華座と呼ばれる像の美しい台座は、後世の補作の部分はあるものの、平安時代前期の様式を良く伝えています。
さっき見たお釈迦さまよりは格好が派手な気がします。胸元にも飾りがいろいろありますし。
一方で、菩薩とは『悟りを求める者』という意味で、修行中の釈迦をモデルにしている。
菩薩は、将来的に如来となることが約束されているんだけど、
より多くの人々を救うために、人々により近い、同じ修行中の立場にあえて留まっている、
という位置づけにある。
いろんな仏像の見分け方を知りたい人は、こっちの記事もチェックしてくれ~
まとめ
- 金堂は、釈迦如来立像、十二神将立像などが安置される室生寺の中で最も古い建築物の一つ。
- 本尊の釈迦如来は、もともとは薬師如来像であったと考えられている。
- 十一面観音をはじめとする「菩薩」は、より多くの人々を救うために、人々により近い、同じ修行中の立場にあえて留まっている。
基本情報
〒633-0421 奈良県宇陀市室生78
参考文献
- 真言宗室生寺派 大本山 室生寺編(2000)『女人高野 室生寺』(飛鳥園)
- 三好和義(2015)『室生寺』(クレヴィス)
- 薬師寺君子(2016)『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてわかる!』(西東社)